633# 鍵 :♪ ページ33
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どうして。どうしてこんな……。銀河に住む同じ人間なのに…………と思う奴もいるだろう。でも私は、ここまでされてもそうまではやはり思えない。
宇宙は広い。全員が同じものを良いとするなんて有り得ないのだ。00やファンにとって芸能は心を豊かにしてくれるものを、DESはわいせつだと表現するように。惑わされた人々を解放する……なんて言うのは、さすがに腹が立つけれど。
先行する想いはあるのに悔しいよ。私たちは適わなかった。大切なものを守るための強ささえ持っていない。抵抗をやめて、星を出ようとする姿は残された人々にどう映る？ 恩を仇で返す。結局は命が惜しい。そう言われてもおかしくないだろう。
「………優子さん？」
彼女も悔しさが表情に滲んでいる。無惨に壊されていく劇場を食い入るように見つめていた、と思ったら。急に顔はやる気に。眉間の皺が無くなった。口を開いて……歌を再開させたんだ。途絶えてしまった、歌詞から。
優子さんの歌声はメンバーの視線を集めた。注目を浴びるまま、その人は私たちに背を向けて戦場へ戻っていってしまう。幾つのキララを連れる彼女に銃口が向けられた。それでも優子さんは止まらない。輝きも増していく。
「優子っ……アイツ」
「待って、何する気！？」
「優子さん！」
行くな、戻ってきて！ 同室の才加さんに同期の梅ちゃんさん、彼女を尊敬しているゆきりんさんが声を上げた。雨が降る中で優子さんはこちらを振り返る。でも、唇は動いていて……メンバー、じゃない。遠征艇のツバサさんに何か言っている？
声はここまで届かない。覚悟があるかのような笑み。このマイクに誓って、というようにサーベルを前に構えた。優子さんの周りを光が囲んでいるようにも見える。そして彼女は歌いながら、更に更に炎の方へ。
ターゲットをロックオンしたかのように立ちはだかるのは無人戦闘機。優子さんはサーベルをクロスにして防御しながら接近し、ここぞというときに機体を四つに切断した。
マイクサーベルは使用者のオーラに感応して、エネルギーフィールドを発生させる。オーラとは、輝きのこと。あそこまでの
「たとえ、孤独になったとしても……！」
優子さんの覚悟と想いに呼応するように、キララが引き寄せられていく。歌声だけなら気持ちが良かった。途端に両手を広げた彼女に、無数のミサイルが襲いかかる。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年9月20日 10時
