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必死で戦う。どうすれば倒せる、終わる。そんなことは考えるな。サーベルを握って『転がる石になれ』を歌い続けた。…………でも。
さっき肩を組んだ真琴は、今はまりこ様に横に抱かれている。DESの攻撃が頭をかすり、更にはセリーにも命中。真っ逆さまになったところを助けられたのだ。真琴は荒い息を繰り返し、まりこ様も両手が塞がってしまう。彼方さんが二人を護りながら戦っている。
そして、再び照らしてくれた光さえも。まるで積み木のお城を崩すようだ。敵の攻撃によりミラーボールは黒い大きな丸い石にされてしまう。土煙があがり、タワー部分は炎に包まれていて……
『みんな聞こえる！？』
「！」
「ツバサさんっ？」
諦めたくない。だって、諦めることは背中を向けることだから。自分の命が惜しい、保身のため。ファンの想いを見ないふりするみたい。
……だから、イヤモニから聞こえてきた指示に耳を疑った。
『秋葉星から撤退します』
「……！？」
「ええっ！？」
「嘘！ 撤退って……」
『敵の狙いは、私たち00よ。これ以上の戦闘は犠牲者を産むだけ……。フライングゲットで、一時ここを離れないと……！』
犠牲者。最悪が頭をよぎる。……ううん、そんなわけない。ともちんさん達はきっと無事だ。恵さん達も。あの人が夢半ばで死ぬはずがない。佐江さんと、これからも一緒にステージに立つことを望んでいた。私に勝てないままいなくなるような人じゃない。
こんな状態で秋葉星を離れるってどういうこと……。たかみなさんがツバサさんに聞き返す。凍原星のライブ前に言われた、00の完全捕獲。狙いが私たちだったとしても、だ。私たちがここを去ったら、この星の人たちはどうなるの？
そんなの見殺しにするのと変わらない。けれど、ツバサさんは『これは命令よ！』と言い放つ。やけに強い言葉。ツバサさんは元00メンバーだ。私たちは、秋葉星を離れるなんて嫌だと思っている。でもそれは彼女にとっても。
「……っ、了解！」
キャプテンであるたかみなさんの返事が聞こえた。それは、00メンバーの総意となる。私たちは何も護れない。本当に、撤退することが秋葉星と人たちを護ることになるんだろうか。反抗したいが仲間割れをしている場合じゃない。意味を問いただす時間もない。
劇場の上空にはフライングゲット号が待機。護衛を失った劇場は為す術なくDESに汚されていく。その様子をただ見つめながら船へ。やるせない思いでいっぱいだ。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年9月20日 10時
