ラピスラズリ⑬【0048】 (ページ30)

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630# 想いも利用され :♪転がる石になれページ30

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このままじゃ……。ツバサは唇を噛む。

なにか、なにかないのか。状況をひっくり返す良い作戦はないかと必死に考えを巡らせる。そして…………名案を思いついたのは、彼女ではなく美果子だった。彼女はハッとして、一番近くのオペのもとへ早足で向かう。

「どいて！」

「えっ？みぃちゃんさん……何を、」

「真緒(なぁな)も知ってるでしょ！ AKB0048が一番輝くのはライブ……。そして、00が一番強くなれるのも……」

美果子は操作パネルを奪い取り、追えない速度で指を動かした。驚いて目をぱちくりする彼女とツバサ。色黒の彼女の本名は茅野真緒。美果子とツバサの後輩であり、元00メンバーだ。現役時代は6代目藤田奈那を襲名していた。

DESに騙されていた、そしてツバサたちにも知られてしまった。そんな美果子が失うものはもう何も無いはず。見てるだけで終わってたまるか。これは、信用してもらいたいからじゃない。かつては仲間と寝食をともにした、かけがえのない場所を守るため。

いつもは灯台のように優しいピンク色の光を放っている0048劇場。電球をまわすみたいにキュルキュルと最上階の一部が回転したかと思えば、ミラーボールが出てきた。そして、とある曲が戦場に流れる。優子は目を見開いた。

「あっ、この曲……」

彼女はすぐさま全員へ通信。ライブを続けるよ。そう呼びかける。驚いて聞き返す研究生たち。こんな状態でライブって……？優子が言ったことを直ぐにはわからない。会いたい、会いに行く。

住民は避難に徹し、この場にはDESと私たち以外誰もいないのに。どうして歌うのか、ライブを続けるのか。…………意味なんて必要ないんだ。彼女たちはAKB0048。00は愛を歌い、踊り、そして戦う。今は秋葉星を守るために。

メンバーたちは近くのメンバーと目を合わせた。みんな、心はひとつ。サーベルをひっこめた。そして、集まって円陣のように肩を組む。気合いを注入するみたいに。優子も機能不十分のLASから脱出。抜け殻は敵機の攻撃で爆破された。キララは少女たちに惹かれ、みんなは小さな光の中で歌う。

…………その様子を、遠く離れた場所から高みの見物する男がいた。口元は満足そうに弧を描いている。手の中のグラスを傾けて、ワインを流し込んだ。

「さすがはみぃちゃん。何処までもこちらの思惑通りに動いてくれる……！」

センターノヴァ発生、最後の条件は。

戦闘をともなった命懸けのライブ。

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