ラピスラズリ⑬【0048】 (ページ17)

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617# あのときの選択ページ17

▼葵平咲和

センターノヴァ制度を復活させるつもりなら妨害する。それを、かつてセンターノヴァだった本人が言った。私は仕事が終わった後ツバサの元を訪ねる。

あれはどういう意味？

『一緒に仕事をするからには信頼関係が大事。まあそれは、メンバーのときから同じことが言えるけど』

『…………分かりました。話します。少し長いですがお時間大丈夫ですか？』

そもそも不思議だった。13代目前田敦子が消えて、センターノヴァ制度は廃止になったはず。過去にも消えたメンバーがおり、危険だと判断されたから。なのに制度は数年経ったら復活。なんで？

私が聞きたいのは理由だった。消えたメンバーの行方と問題の解決。復活させるなら、それらが明らかにされて安全だと証明されたから……と考えるのが普通。だが運営からは制度としてまた運用する知らせのみ。

自分は……もう卒業しちゃったから。知った当時は「やったー！」とかは特に思わなかった。自分がなれるわけでもないし、あの頃は00で働くなんて思ってもなかったから。

『私はセンターノヴァ制度の復活理由と、美果子の言葉の意味が知りたかったのに……。まさか聴取がこんなに長くなるなんて』

『だから長いって言ったでしょ……あ。じゃないですか』

『77期がキッカケだからって、加入前から話されると思ってなかったんだもん。ていうかツバサさ、ちょいちょい敬語外れるけど別に気にしないでいいよ？』

私は65期、彼女は66期で後輩だ。襲名も私がずっと先。けれど……それからは「優子」。ですますの丁寧語は外れてラフな話し方で。歳もひとつしか変わんないし。何より「ツバサ」だし、タメ口でも全然OK。

よーしよし。彼女の頭を雑に数回、撫でる。髪型がぐちゃぐちゃになるからやめて下さい。そう言う代わりのように手を払われてしまう。イッヒッヒ。

『制度を復活させたのは、センターノヴァの謎を解明するため。にわかには信じ難いね。研究生公演成功の裏側には、前田の声があっただなんて』

『……私は、彼女に会いたい。やっぱりセンターノヴァを産むのが近道な気がした。先聖が言うように誰かが次のセンターノヴァなのだとしたら……このままではいられない』

『うん、研究生が「そう」なった前例はないね。だから襲名の足がかりとして選挙を開催……か。メンバーを競わせ、一気に成長させることを目的に』

前田敦子が消えてからは「みんなで」。

それは、私やツバサが知ってる00じゃない。

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