ラピスラズリ⑬【0048】 (ページ11)

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13代目あっちゃんもセンターノヴァになってから暫くはあんな感じだった。襲名しても普段は変わらない。物静かだけど、ニコッと笑った顔が凄く可愛い女の子。その笑顔はみんなをキュンとさせるものだった。

……なのに、レッスンが始まるとどこか人を寄せつけない。気軽に話しかけられないオーラを出していたっけ。

「私は、彼女がどんどん独りになっていく気がしていたの」

▼Tsubasa

とあるゲリラライブの前。そう、優子が劇場公演であっちゃんのアンダーを務めるために秋葉星に待機していた日のこと。ライブ前、最後のレッスンを終えて。私たちはジャージの上を羽織っただけ。あっちゃんと話していた。

私がそう言ったら、彼女は目を丸くする。キョトンとしていた。不思議そうに私を見て「独り？ ……どうして？」と訊いてきたのだ。あっちゃんに自覚はまるで無いようだった。……でも、私の方こそ。なぜそう感じるのか。まったくわからない。

どうしてこんなに心細いの。目尻が濡れた。

『でも！みんな、あっちゃんのことが好きなの！だからっ……もっと私たちに頼って！？今のあっちゃんは、なんだかひとりで戦おうとしている気がする……！』

『…………うん。わたしも』

肩を震わせて、いくつも歳上なのに泣いて。そんなの構わない。どこかに行ってしまうよりマシ。引き止める、繋ぎ止める。すぐ隣には私が、周りには仲間がちゃんといるの。あっちゃんが何かをやろうとしてるのなら、そう言えばみんなは協力するよ。だって貴方が大好きなんだもの。

彼女は緩やかに弧を描いた。私の左の頬にピトリと手を置き、流れる涙を拭ってくれた。そして額をくっつけると目を瞑る。

『わたしもみんなのこと好きだよ……大好き。心配してくれてありがとうね、麻里子』

『あっちゃん……』

『分かってる。わたしは……ひとりじゃない。孤独は今日で終わり！』

再度目を合わせて、見慣れた笑顔を浮かべていた。私に触れる手に自分の左手を重ねた。温かくて、落ち着く。あっちゃんはたしかにそこにいる。私の目の前に。

でも、結局安心させられたのはこっちなのだと。気づいたときにはもう遅い。そんな話をした直後に……私やたかみな、みんなの視線の先にいたあっちゃんは消えちゃった。

星は一際強く輝いたかと思えば、光に飲まれてしまった。

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