ラピスラズリ⑬【0048】 (ページ2)

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602 :♪虹の列車ページ2

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襲名組から研究生にバトンタッチ。

それでも客席の熱は冷めない。盛り上がったまま。

「特になぎちえのここんところの伸びは、ニョッキニョッキ伸び盛りって感じよね〜。二人に食らいつくようにチャンるりもますます光ってるし。うんうん、今後が楽しみ」

研究生公演には篠田の姿もある。まさかあいつが、ツバサに直談判するなんてなぁ。二年半という長い下積みを送った奴は度胸がある。……東雲姉、あの様子だとあまり気にしてなさそうだ。よかった。

篠田の襲名から今日で八日目。この時点で新たな襲名の話は特になし。明日が来れば志津香の記録を抜き、75期の東雲が研究生として最長の期間の記録保持者となる。

何があっても、アイドルなら笑顔でステージに立つ。当たり前。でも志津香が同期なんだから、私も何も思っていないわけないんだよね。仕方のないことだ。

「センターノヴァが生まれるときって、他のメンバーもみんなキラッキラしてるもんねぇ〜！」

「ふうん。それは、自滅した私への当て付けかな。私じゃ……美果子のようにメンバーを引っ張って輝かせる、そんな技量も信頼もなかった。そういうこと？」

「えぇっ！？そんなこと言ってないわよ。ねえ咲和〜、機嫌直してってば〜」

「くっつくな、うざい。腹立つ」

撮影を一旦止める美果子。腕を組んでライブを観ていた私に近づいてきたかと思えば、肩に手がまわって縋るように抱きつかれた。その若いときのノリさえ苛苛する。

当時、そして連絡を絶っていたこと。無いことにしようとしてるのが腹立たしい。物心つく前から一緒にいたから、美果子のことはなんでも分かっていた。でも今は……こいつがどういうつもりなのかまるで分からない。得体の知れない奴みたいだ。

離れろって。自分の足で奴の脛を軽く押してやると、温もりは冷えていく。またため息が溢れる。本当は視界に映るだけで目障りだけど、メンバーのパフォーマンスを見て次回のレッスン内容を考えるのが私の仕事だから仕方ない。

「…………みぃちゃん、どうしてなんですか？」

「ん？」

「言っていたはずです。センターノヴァ制度を復活させるつもりなら、どんな手を使ってでも妨害するって」

……妨害？

なにそれ、何の話？内容が見えない。

「なのに、そんな言葉を平気d」

「やだなぁ、水臭い。あたしだって00メンだったんだからさ〜、いっつもメンバーの心はひとつ！ ……でしょ？」

美果子は伊達眼鏡を外した。

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