1人よりも…① (ページ10)

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「…ごめんな…っ。なんもして…やれなくて…っ。」

膝から倒れ込む。

真っ黒なアスファルトの上の俺の体はどんどん冷えていく。

いつまで…
ぬれるのか。

なんか，すげぇ

……さみぃ。

「カァーーット!」

次の瞬間，カットの声がかかって，
人が一気に集まってくる。

真っ白な毛布で体を包まれて，
屋上の屋根の下まで連れて行かれる。

「大丈夫ですか?寒いですか?」

「いや…だいじょうぶです…くしゅ!」

１つくしゃみが出て，鼻を啜る。

「松本さん，今日は以上です。お疲れ様でしたー。」

「お疲れ様…でした。」

学校をあとにして，駐車場まで戻ると，
マネージャーの車があった。

「…やっぱりぬれましたねぇ。」

「撮影だから，しょうがないよ。」

「風邪気味…だったから，心配ですけど。」

平気，と手をひらひらさせて，
シートに沈み込んだ。

なんか…体が，重い…。

「はぁ…。」

気づけば，いつの間にか寝てしまっていたみたいだ。

「…松本くん!」

「…ん，あ…もう，着いた?」

「はい。大丈夫ですか?」

「だから，平気だって笑」

体を起こすと，

「ふぇっくしゅ!」

鼻がむずむずして，くしゃみが誘発される。