1人よりも…① (ページ18)

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「はぁ…っ。」

車に乗り込むと，そのままシートに倒れ込んだ。

かかる息が熱い。

顔も熱い…。

「ちょ，松本くん?」

「あー，疲れた…だけ…。な，ぁ…薬局…寄ってくんね…ぇ?」

「いい…ですけど。」

納得しない表情で，俺を見つめる目は，心配そうに揺れている。

その姿をとらえようにも，視界が霞んで
うまく見えない。

「はぁ…。」

…熱，どんくらい…あんだろ……。

「げほ，げほっ，ごほ!げぇっほ，ごほっ!」

「松本くん，着きました…けど。」

「…いってくる，わ…。」

「僕が買いに行きましょうか?」

「え…だいじょぶ…だよ…。」

「大丈夫，って言われましても。風邪，引いてますよね?」

「……。」

否定することも肯定することも出来ず，黙り込んでいると，
マネージャーはそれを肯定ととったらしく，

「なら，買いに行きますから。なに買ってくればいいですか?」

「葛根湯…。」

「分かりました。一箱買ってきますね。」

バタンｯ

ドアが閉められて，静寂がやって来た途端。

「げほっ，げほ!ごほっ…。」

咳が，止まらなくなる。

ありえねぇよ…なんでだよ…っ。

気をつけてたはず，だったのに…。

悔しくて…，
気づいたら，涙がこぼれていた。