1人よりも…① (ページ16)

今日:11 hit、昨日:1 hit、合計:62,143 hit

＊１６＊ページ16

・

"それ"は，ちょうど，クリフクライミングでのことだった。

寒さで，鳥肌が立つ。

衣装が肌に触れるたび，ゾクゾクする。

正直，嫌な予感はしてた。

この時期に，エアコンをつけてるはずがない。

でも，寒い。

寒くて，思わず衣装の上から，腕をさする。

いわゆる，"悪寒"ってやつだ。

ちょうど，そのあたりから，頭がぼーっとしてきた。

「…ですが…，松本さん?聞いてますかー?」

「あ…え，いえ…なんでしょう。」

「だからー。」

おかしい…

でも…，
自分では制御できないほど，体が重い。

だるくて，
隅っこで，セットに寄りかかる。

正直，座り込んでしまいたかった。

「コン，コンッ!」

マイクに拾われないように，小さく咳を繰り返していると，

「ピンク!ほら，松潤指令!」

「あ…1…22…。」

声を出すことさえが，しんどくて，

俺は１つの確信を持っていた。

「嵐チームの得点，140ポイントです。」

首に触れる。

明らかに，発熱してる。

体の芯から，熱さが発せられていた。

悪寒の正体は，この熱のせい。

体が動かないのも，この熱のせい。