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月 猗窩座 ページ31

今日も私は、猗窩座と顔を会わせなくちゃいけない。
 別に義務じゃないし、そんな義理もない。ただ、私がどこに居たって、猗窩座は私を見つけ出して、私の前に姿を表す。月が顔を出して、風が吹いて、雲で月が隠れると、ほら。いつの間にか猗窩座は私の目の前にいる。

「今日も綺麗だな」
「……猗窩座、貴方そんなことを言う人だった?」

 いつもと同じ決まり文句を吐いて、猗窩座は私の頬を撫でる。上弦まで上り詰めた猗窩座に、力で勝つなんて到底無理な話だから、私は無駄な抵抗はしない。ただ、そうね、貞操観念が危うくなったら抵抗はするんだけれど、猗窩座はそういう気配は見せていない。

「ねえ、貴方は私にこだわるべきじゃないと思うの」
「どういう事だ」
「だって貴方には、昔心に決めた人が居るはずなのよ」

 私は知っているんだからね。ずっと前から、知っているんだから。貴方には将来を約束していた女の子が居るんでしょう。その子が殺されてしまって、貴方はおかしくなってしまったのよ。おかしくなってしまうくらい、その子が大切だったのよね。
 それならどうして私なんかに構うのよ。

「俺にはそんなの居ないな」

 頬を撫でる手に、力がこもった。
鬼が鬼にされる前の記憶をもっているのは、何だかんだ珍しいことのようだから、忘れていても仕方がないのかもしれない。でも私、人の繋がりというのは大事にしていたいタチなの。鬼の私がこんなことを言うのはおかしいけれどね。

「いつまでたっても、お前はそんなことばかり言っているな。気を逸らしているつもりか?」
「そんなんじゃないわ」
「どうせ、お前は俺から逃げられないんだ」

 ______そんな風に不敵に笑った貴方が、死んだらしい。
 思ったより呆気ない死だった。ただ、死ぬ間際、貴方は幸せそうにしていたのを、私は知っている。

 私がどうして貴方が鬼になる前の事を知っていたのか、教えてあげましょうか。もう貴方は死んでしまった事だしね。

 好きだったからよ。私が人間だった時、貴方を好きだったから。道場にいる貴方を見て、一目惚れというものをしてしまったの。けれどこの恋は叶う事がなくて、私は潔くこの身を引いたわ。まあ、貴方との面識なんてこれっぽっちもなかったけれどね。

 鬼になった貴方に会って、ビックリした。貴方が私に言い寄ってきた時もね。だけれど私は、人間の時の純粋で綺麗な貴方が好きだった。

 ただ、それだけなの。

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林檎好き系猫 - 私も好きです!!(突然の告白返し) リクエスト承りました! (2020年3月20日 10時) (レス) id: d94760e07b (このIDを非表示/違反報告)
いぇあ - 凄く好きです!!!(突然の告白)リクエストで、キメツ学園の炭治郎と日向ぼっこでよろしいでしょうか…? (2020年3月19日 18時) (レス) id: 578a6cecc2 (このIDを非表示/違反報告)
林檎好き系猫 - 凪さん» リクエストは随時募集中ですので、是非。キャラクター、希望であればシチュエーションもお願いします (2020年2月22日 11時) (レス) id: d94760e07b (このIDを非表示/違反報告)
- よろしければ、リクお願いしてもいいでしょうか? (2020年2月22日 0時) (レス) id: b575dccd32 (このIDを非表示/違反報告)
林檎好き系猫 - 碧佳さん» ありがとうございます。頑張ります。コメントは作者の動力源です(笑) (2020年2月7日 20時) (レス) id: d94760e07b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:林檎好き系猫 | 作者ホームページ:http://  
作成日時:2019年12月24日 22時

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