太陽 時透無一郎 ページ29
「無一郎!」
白いベッドが似合わない君。花のように笑顔を咲かせる君。
蝶屋敷の狭い一室に、君は今日も閉じ込められている。
「起きてたんだ」
「うん、今日は調子がいいみたい。昨日は寝ちゃっててごめんなさい」
しゅんとした様子で、君は肩を下げた。
いつも具合が悪くて、起きている方が珍しいんだから、そんなに気にする事もないと思うんだけれど、君は昔からずっと変わらずに律儀なままだ。
細身の体に、重すぎる病気が見つかったのはそう昔のことではない。勿論の事、入院を余儀なくされた君。
「今日はフルーツを持ってきたんだ」
「! 私の好きな物ばかり……嬉しい」
昨日はユリの花を。その前はたくさんの折り紙を。
君がいてくれるからなんだって頑張れるんだし、僕を突き動かす力になる君には、このくらいの感謝じゃ足りない。だけれど、持ってきすぎたら逆に君が縮こまってしまうから、きちんと頻度は考えているつもりだ。
「病気は大丈夫なんだよね?」
「うん、今のところは順調だよ」
僕が切った林檎を頬張りながら君が言う。幸せそうに微笑む君に、僕も嬉しくなった。
「ねえ、無一郎。無一郎は私のお見舞いに来るの、面倒じゃないの?」
「面倒なら来てないでしょ」
「そっか」
いつになく真剣な表情で僕の顔を伺っていた君が、ポロポロと涙をこぼした。
「ありがと……えへへ、嬉しい」
涙を拭いながらとびきりの笑顔を見せた君に、僕が顔を真っ赤にしたのは言うまでもない。
それから、数日も経たないうちだった。君の葬式が行われることになったのは。
「順調だって言ったのは、嘘だったんだね」
急に発作が起こったとかそういうのではなく、君の中ではつもりに積もっていたらしい。限界を迎えたのがたまたまその日だったという訳で。多分、君は知っていた。自分の命が、もう少しももたないことを。ずっとずっと、僕に嘘をついて。
順調だよと笑った顔が、脳裏にこびり付いて離れない。
なんでその日僕は君の傍に居なかった? なんで君は教えてくれなかった?
乾いた笑みが、僕の顔を覆った。
「これ、あの子から」
僕は君の力にはなれなかったかな。
長い長い手紙の最後は、僕が君の生きる理由だった事と、僕を大好きだって事が、大きすぎる文字で綴られていた。
「……そんなの、僕もだよ」
君が居なくなってから、初めて涙が溢れた。
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林檎好き系猫 - 私も好きです!!(突然の告白返し) リクエスト承りました! (2020年3月20日 10時) (
レス) id: d94760e07b (このIDを非表示/違反報告)
いぇあ - 凄く好きです！！！（突然の告白）リクエストで、キメツ学園の炭治郎と日向ぼっこでよろしいでしょうか…？ (2020年3月19日 18時) (レス) id: 578a6cecc2 (このIDを非表示/違反報告)
林檎好き系猫 - 凪さん» リクエストは随時募集中ですので、是非。キャラクター、希望であればシチュエーションもお願いします (2020年2月22日 11時) (レス) id: d94760e07b (このIDを非表示/違反報告)
凪 - よろしければ、リクお願いしてもいいでしょうか？ (2020年2月22日 0時) (レス) id: b575dccd32 (このIDを非表示/違反報告)
林檎好き系猫 - 碧佳さん» ありがとうございます。頑張ります。コメントは作者の動力源です(笑) (2020年2月7日 20時) (レス) id: d94760e07b (このIDを非表示/違反報告)
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