太陽 我妻善逸 ページ13
「あらぁ、善逸さんやないですか。昨日ぶりですねぇ」
私の働く甘味処に、結構な頻度で通いつめてくれはる善逸さん。昨日はみたらし団子を食べて、ちょっとお話をした。今日は何のご用やろ。
「き、今日はっ、桜餅を買いに来たんだ! 知り合いの人に、美味しいって聞いたからっ」
私が微笑みかけると、顔を真っ赤にしてそう言う善逸さん。ほんまに分かりやすい人。
私は女将さんに桜餅を頼んでから、善逸さんに向きなおった。
「知り合いの人いうんは、甘露寺さんの事ですか」
「っ!! な、何で知って……」
「贔屓にさせてもろうてますから」
甘露寺さんも、結構な頻度でこのお店に桜餅を買いにいらっしゃる。桜餅が好物で、ここのは一番好きやって言うてもらった事もある。嬉しい限りや。
「そうだよ、甘露寺さんなんだ」
「ふふ、当たりましたぁ」
話していると、女将さんが桜餅を私に渡してくれる。お金を貰って、善逸さんに桜餅を差し出した。
不意に、善逸さんの視線が留まる。
「その髪飾りは誰に貰ったの」
「お客さんですけど」
「男の人?」
「ええ、まあ」
善逸さんが唇を噛んで、下を向いた。何が言いたいのか分からずに、私は首を傾げる。
「その人の事、好きなの?」
「いえ、ただのお客さんです。でも、この髪飾り可愛らしいでしょ」
別にその人の事を好きな訳やないけど、綺麗な細工をしてある髪飾りが可愛らしいから、気に入って時々着けてる。
善逸さんの悔しそうな表情がちらっと見えて、何となく善逸さんの気持ちを察した。
「俺が髪飾り贈ったら、俺の贈った髪飾りを着けてくれる?」
「勿論です」
そう言って、善逸さんに笑顔を向けた。善逸さんに貰えるのなら貰いたいし、それを着ける。
私、いつの間にか善逸さんの事好きやし。
「次に来る時に髪飾りを贈るから」
数日後、宣言通りに善逸さんは髪飾りを持って甘味処にいらっしゃった。
薄い黄色の硝子細工に、可愛らしい模様がついてる。私の若干紫がかった黒髪に、よう合う。
「ふふ、この黄色は善逸さんみたいですねぇ」
「……駄目だった?」
「いえ」
ふふふ、と笑うと善逸さんは顔を真っ赤にした。善逸さんて、思ってたより独占欲強いんやなぁ。
「……やっぱり俺、君の事が大好きだ!!」
「ふふ、知ってます」
「返事は? 俺のこと、好きじゃない?」
「好きですよ、勿論」
善逸さんに笑みを向けると、泣きそうな、嬉しいような顔で微笑んで、私を抱き締めた。
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林檎好き系猫 - 私も好きです!!(突然の告白返し) リクエスト承りました! (2020年3月20日 10時) (レス) id: d94760e07b (このIDを非表示/違反報告)
いぇあ - 凄く好きです!!!(突然の告白)リクエストで、キメツ学園の炭治郎と日向ぼっこでよろしいでしょうか…? (2020年3月19日 18時) (レス) id: 578a6cecc2 (このIDを非表示/違反報告)
林檎好き系猫 - 凪さん» リクエストは随時募集中ですので、是非。キャラクター、希望であればシチュエーションもお願いします (2020年2月22日 11時) (レス) id: d94760e07b (このIDを非表示/違反報告)
凪 - よろしければ、リクお願いしてもいいでしょうか? (2020年2月22日 0時) (レス) id: b575dccd32 (このIDを非表示/違反報告)
林檎好き系猫 - 碧佳さん» ありがとうございます。頑張ります。コメントは作者の動力源です(笑) (2020年2月7日 20時) (レス) id: d94760e07b (このIDを非表示/違反報告)
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