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『 ねえねえ
Aさん、』
プリントを覗き込む
彼女が不思議そうに
顔を上げた。
勉強を教えてもらっている
最中に気になっていた事を
聞いてみた。
『 前に俺と出会ってから
ずっと俺の事ばっかり
考えてるって言ってたよね。
あれってどういう意味?』
「 え、っと。それは。」
困った顔が
何だか可愛く思えた。
答えを聞かなくても
反応だけで分かる気はするが
どうせならちょっとだけ
意地悪をしてみたくなった。
俺は恋愛に鈍いというか
ただただ興味が無い。
大光の初恋の相手が
実は俺を好きだった
なんて言われたけれど
本当に知らなかった。
好きとかじゃなくて
ただAさんは
他の女の子とは
違う感じがする。
一緒にいても
疲れないというか。
「 …龍斗さん?
聞いてる?」
『 ごめん。
聞いてない。』
「 もー!」
思わず笑ってしまう。
未だにお互い
「さん」付けだけど
ガチガチだった
Aさんの敬語は
自然と消えていた。
〈 何イチャついてんの!〉
個人的に大光とAさんは
お似合いだと思うなあ。
似た者同士というか。
二人ともたまに子供っぽくて
素直でとっても優しい。
ワイワイするのは
大の苦手だけど
三人でいるのは楽しい。
何も無いこの部屋で
笑い声が絶えない。
気が狂いそうだった病室が
いつの間にか
俺は好きになっていた。
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六ノ神(プロフ) - このお話めっちゃ好きです!!更新頑張ってください! (2019年3月27日 22時) (レス) id: b1e03a8962 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるく | 作成日時:2019年3月19日 2時