02 / you ページ3
「 あの、すみません。
ペン落としましたよ。」
背中を向けて
寝転がっている彼に
恐る恐る声をかけた。
『 ああ…
さっきはどうも。
助かりました。』
苦しそうに起き上がる。
悪い病気、なのかな。
私が持っているペンに
手を伸ばした彼の腕には
痛々しい傷があった。
「 っ…… 」
思わず言葉を失ってしまう。
一瞬不思議そうにしてから
彼は苦笑いを浮かべた。
『 バレちゃったね。
でも気にしないで。』
傷、と言っても
一つだけじゃなく
何本も無数にある。
中にはまだ新しそうな
血の色をした傷も。
「 大丈夫…ですか?」
明らかに
大丈夫そうではないけど
かける言葉が他になくて。
〈 作間さん、ご飯の時間
…あれ。お友達ですか?〉
ナースの方がトレーを持って
病室に入ってきた。
キョトン、とした顔で
私と彼を交互に見ている。
『 いいや。それより
早くご飯ください。』
〈 あ、はい。
もしかして彼女さん?〉
『 そうかもね。』
私が否定する前に
そう答えた。
飛んだでたらめだ。
本当に不思議な人だな。
それから少しだけ
静かな病室にいて。
再検査を受けて
帰る事にした。
作間龍斗さん。
また会えるかな。
何だか彼が儚くて
消えてしまわないか
心配になった。
どこの誰かなんて
全く知らないのに。
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六ノ神(プロフ) - このお話めっちゃ好きです!!更新頑張ってください! (2019年3月27日 22時) (レス) id: b1e03a8962 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるく | 作成日時:2019年3月19日 2時