画面越しの君 ″ YouTuber (ページ8)

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攻略方法 ″ れんページ8

「お邪魔しまーす！」

上京して一人暮らしを始めた彼の家に、初めて訪れた。綺麗に片付けられてある。「Aが来るから片付けた」なんて言っていたけれど、普段から綺麗にしていることが分かるくらい整頓されていた。

『あ、こっちの部屋は
ちょっと汚いかも… 』

れんくんの言葉を聞き流し、迷わずドアを開けた。

「 …うわ、すごいゲームの量！」

部屋には、たくさんのゲームソフトが箱ごと山積みで置かれていた。汚いとか散らかってるというより、ただただその量に圧倒されていた。

『箱とか捨てれへんくて
そのままにしちゃうんよね。』

趣味のことになると、子供のように無邪気に話す姿がなんとも愛おしい。

「わたしもゲームしてみたい！
めっちゃ下手やねんけどな。笑」

『彼女と一緒にゲームするとか
憧れてたわ。嬉しい！教える！』

男の子が大好きなアクションゲーム、頭を使うゲーム、小さい頃にしたような懐かしいゲーム。テレビの前に並んで座り、いろんなゲームをさせてもらった。

れんくんの上手さに少し悔しかったけど、事あるごとに「すごいやん！」と褒めてくれるのがたまらなく嬉しかった。

「ちょっと疲れてもうた。」

しょぼしょぼする目を擦りながら、れんくんの肩に頭を寄せた。

『このまま寝てもいいよ？』

「んー… 」

せっかく家に遊びに来たんだから、少しでも長く話していたい。そう思いつつも、あっという間に眠りについてしまった。

.

遠くでカチカチというコントローラーのボタンを押す音がして、目が覚めた。れんくんは、ゲームに夢中でわたしが起きたことに気づいていない。

『 …よっしゃ、』

独り言を呟きながら、熱心に画面に向かっている。

邪魔しないでおこうかな。でも、ちょっとだけ寂しいな。

服の裾をぎゅっと握り締める。驚いたように、れんくんの肩が小さく震えた。

『あ、A起こしてもた？
ごめんな。今、いいところで… 』

もうすぐでラスボスを倒せるらしい。真剣な表情は、とてもかっこいい。じーっと横顔を見つめていた。

「ん？」

急にコントローラーから手を離し、こちらを振り向いた。

『そんなに見つめられてたら
恥ずかしくて集中できやん。』

優しく抱き締められると、微かな香水のにおいに包まれる。

れんくんはゲームだけじゃなくて、女の子の扱いも上手いんだな。日に日に攻略されていく一方です。