画面越しの君 ″ YouTuber (ページ6)

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大人(2) ″ みのページ6

確かに寒いけど、今は離れたくなくて。

「もうちょっとだけ
このままでいい…？」

『甘えん坊さんだな。
一瞬だけ離れてくんない？』

ああ、やっぱり嫌だったかな。なんて沈んだ気持ちのまま離れると、体の向きを変えて正面から抱きしめてくれた。

いつもの香水と煙草の匂いに包まれる。

『無理にとは言わないけど
なんかあるなら教えてよ。』

私のことちゃんと見ていてくれたんだ。

「 ……あのね、」

不安な気持ちを全て伝えた。他の人なら面倒くさがりそうなことなのに、みのさんは受け入れてくれる。やっぱり大人って違うんだな。

「風邪引いたらダメでしょ」とひとまず部屋の中に入ることにした。ソファに並んで腰をかける。

『不安にさせてごめん。
かっこいい姿しか見せないようにって
思って、それで寂しくさせてたなんて。
Aはガキなんかじゃないからな？』

俯く私の顔を覗き込みながら、ゆっくりと頭を撫でてくれた。溶けてしまいそうなほど優しくて心地よい。

『年齢とか関係ねえし
Aだけだよ。好きなのは。』

さらっとそんなことを言えてしまうのは、とてもずるいと思う。でも嬉しくて。不意に涙が溢れてきた。

「ごめん、泣くつもりじゃ… 」

『もっといっぱい甘えてよ。
そんなに俺を大人って思うなら。』

両手で頬を挟まれると、あっという間に互いの額がくっついた。ブサイクな泣き顔をこんな近くで見られたくないのに。

反射的に目を閉じると、鼻先に唇が触れた。

「んわ…… 」

『あ、口が良かった？』

みのさんは、おどけたように笑う。それにつられて私も自然と笑顔に戻っていた。

こんなに頼りになって、私のことを受け止めてくれて、かっこよくて、完璧な人はみのさんしかいない。私もこれから彼に釣り合うようなステキな大人にならなきゃね。