浅草生まれ、前世の記憶持ち！？

子供 ページ36

夏の日、雲一つない青の晴天が広がる浅草。

今日は天気がいいなぁ、と思いつつ紺炉は甘味処で好物の餡蜜を食べていた。


「やいっ紺炉、お前ェさっきからおう。ばっかりで話聞いてんのか。」

「あァ、すまねぇ兄貴。」

「すまねぇってやっぱり聞いてなかったか。」

「ちょっと天気が良かったからな。」

「天気？まあ空を見んのはいいけどよぉ、相槌全部おう。は結構辛れぇもんがある。」

「おう。」

紺炉だって兄貴分を適当にあしらってる訳ではない。

ここ最近の会話はおう。としか答えられなくて自分でも困ったいるのだ。

何せ最近の東の話はその九割が子供の事なのだ。


夏に入る少し前、志保が子供身籠った。

発覚時の東の喜び様は察してほしい。

浮かれ、喜び過ぎて頭に一発入れられていた。

それから今に至るまで弟分の紺炉は毎日子供と志保の話を聞かされている。

正直、嬉しいのは分かるが同じような話ばかりそろそろ勘弁してほしい。

今のこの人に言っても意味がねぇな。

紺炉は苦労体質なのだ。


「兄貴よう、甘味処に連れてってやるって付いて来たらガキの話ばかりじゃねぇか。」

「奢ってやってんだ、話ぐらい良いだろう。」

相変わらずどこか横暴な東にため息を落とす紺炉。

「火消しの俺たちが甘味処でガキの話しかしてなかったら締まりねぇよ、」

「馬鹿紺炉、火消しが甘味食って駄弁ってるのは平和の証拠だろうが。」


確かにと紺炉に思わせる辺り、東の方が上であった。

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