沢北栄治の幼なじみ (ページ20)

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20.変化ページ20

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四月
相変わらず桜が綺麗な事は変わらない

変わったことと言えばたくさんある
私は中学生になったこと
憐ちゃんは志望校に無事受かって、高校生になったこと

今日は入学式
私はまた大人に一歩近づいた

校門には、真新しい制服に身を包んだ生徒達がたくさんいた
私もその中の一人だった

｢A｣

振り返ると少し大きめの学ランを着た栄治がいた

｢…その学ラン、少し大きすぎない？｣

｢これからピッタリになるからいいんだよ｣

栄治と同じ考えの生徒がたくさんいるらしく、周りにいたどの男子生徒も学ランは少し大きめだった

ブカブカの学ランなんて、少しかっこ悪い

他の生徒を見てそう思っていたのに、栄治を見てもそう思わないのは、私がどうしようもなく栄治が好きだという証拠だった
我ながら馬鹿だなぁと思った

｢それより、A何組だった？｣

｢私五組｣

｢は、一緒かよ｣

｢また？もう飽きた｣

こっちのセリフだよ、と私を見下ろす栄治

変わったことがもうひとつ
栄治は随分背が高くなった
それも、私を見下ろせるくらいには

｢栄治って身長何センチだっけ｣

｢166。Aは？｣

｢…155｣

｢へぇ、チビじゃん｣

｢うっさい｣

これでも私は女子の中で背が高い方なのだが、栄治にはそれも関係ないみたいだった

周りよりも少し背が高く、極め付きに整った顔
栄治は周りの目を引いていた
本人はそれに気づいていないようだが

沢北栄治は世間で言う｢イケメン｣の分類だった
それは小学校でも中学校でも変わらなかった

先程から女子生徒がチラチラと栄治に視線を送っているのが目に入った
変わったのは、中学は小学校よりも生徒の人数が多いため、それに比例して栄治に視線を送る人が多くなった事だ

そうでしょ、栄治かっこいいでしょ

と何故か自慢げに思うのと同時に、モヤモヤとした気持ちが胸に残っていた

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