16.自覚 ページ16
"恋"なんてしたこともないし、そういう感覚もよく分からない。
でも、これが恋と言うならば、今までの動悸にも納得がいく。
｢なんで、悩んでるってわかるの？｣
｢わかるに決まってるだろ？何年一緒にいると思ってんだよ｣
エージは当たり前の様に言うけど、私って顔に出やすいのかな？
というか悩み事なんて言おう。
さすがに今思っていることを言うのはやばい。
｢え、エージはさ｣
｢ん？｣
｢中学、受験とかしないよね？｣
｢俺が？しねぇよ。それほど頭良くもねぇしなー｣
そっか。エージは憐ちゃんと同じ中学に行くのか。
｢え、A受験すんの？｣
｢…ううん、しないよ｣
｢だよなぁ。Aが一緒にいないとかやだし｣
エージがホッと安心しているのがわかる。
そんなこと、言わないでよ。
エージの顔をまともに見れなくて、目を逸らしてしまう。
また、胸が痛くなる。
｢…Aって、結構顔に出るよな｣
｢え？｣
｢顔、赤いぞ｣
｢うるさい｣
これもう、ダメなやつだ。
気付かないふりをしていた。
多分、もっと前から
エージの事が好きだ。
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作者名：あとき | 作成日時：2023年4月20日 7時
