家政婦から嫁になります【灰谷蘭】

あの日のこと ページ1

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蘭「A、結婚しよ。」




私は蘭さんに突然プロポーズされた。


びっくりしすぎて言葉が出ない私に
蘭さんはキスをしてくる。



『…んっ…、…蘭さん…//』



唇を啄まれながら「やだ…？」と聞かれて
私はふるふると首を横に振る。



蘭「A、返事は…？」



蘭さんの少し垂れた目が、優しく私を見つめていて。

これまでの出来事が一気に思い出された。

短い期間で濃厚すぎた日々。

そしてこのプロポーズ。


結婚は勢いだとはいうけれど、
まさにこういうことなのかなと思ったり。


ただ一つはっきりしているのは
目の前にいる蘭さんのことが大好きで、
愛おしい存在だということ。



『……蘭さんの、お嫁さんに…してください…』



いつも蘭さんの前で泣き虫な私だけど、
この瞬間はぼろぼろに泣いた。



蘭「一生大事にする。」



そう言った蘭さんは、私を抱きしめて
頬を伝う涙に口付けてくる。


多分、今までで一番泣いたと思う。






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『にしても、いきなりすぎる…//』



あれからしばらくして泣き止んだ私。



蘭「びっくりした？」



ニヤリと笑う蘭さん。



…そりゃあもう。

蘭さんと出会ってから驚くのには慣れたけど。
さすがにこれは予想してなかったからびっくりした。

彼女じゃなくて、いきなり奥さんになるんだよね。



『付き合うとか…段階踏まなくていいの？』


蘭「いらねー。欲しいと思ったらすぐ手に入れたい。」


『蘭さんらしいかも…』


蘭「誰にも取られたくねぇし。」


『……、……//』


蘭「Aが不安そうなのもなくなるだろうし？」


『…ぅ…ん…//』


蘭「俺、形に拘るタイプじゃなかったけど
Aとなら、紙切れに縛られてもいいと思った。」



すごく嬉しい。
蘭さんがそう思ってくれるなんて。


でも…



『…本当に、私でいいの…？』



蘭さんに対しての不安じゃなくて、
私でいいのかなっていう、自分に対しての不安。




蘭「Aがいい。」




不安はすぐに払拭される。








蘭「お前以外考えられない。
…だからずっと俺のそばにいろ。」








私の頬を撫でながら、
まっすぐ目を見てそう言った蘭さんに
私はまた惚れ直した。




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