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蒼白 ページ7

「アリアちゃん。あの時のこと、話せますか?ゆっくりでいいので。」

食器を片付けたあと、しのぶさんは言った。

日光に照らされた埃が、風を受け空気中をキラキラ舞っていた。

どこかから聞こえる鳥のさえずり。

穏やかで眠くなるような空間で口を開く。





“鬼が出た”お屋敷の中で誰かが叫んだ。

朝からしてる、嫌な予感。

見知った使用人の悲鳴。

アリアはただただ怖くて、動けずにいたこと。

しばらくして、輝がきて、輝と一緒にお屋敷の外に出た。

最悪だったけど、大好きなお父様、お母様、ばあやも失ったけど、必死に走った。

輝がお屋敷に戻るまでは。

追いかける勇気も、ちゃんと引き止めるための冷静さも、
ぜんぶ欠いていたアリアは泣きながらうずくまって朝まで待っていた。




「それで、気づいたら天元様のお屋敷にいたんです。」

「なるほど、その輝くんが、あなたの探している人なんですね?」

はい、と力強く頷いて続けた。

「輝は、わたしが小さな頃から面倒を見てくれている大切な人なんです。」

身長、年齢、雰囲気、分かることは何でも話した。

情報をひとつづつ増やす度、しのぶさんは顔を曇らせる。

「宇髄さんからも色々と聞きました。しかし。」

しかし

アリアは息を呑んだ。

ここまでくれば、この先、言たいことはわかってしまう。

どうしても察してしまう。

嫌だ。

唇が震える。

頭が真っ白になった。

視界が揺れ、ぐるぐるする。

いや、絶対やだ。

「しかし、なんですか?」

「わたしはそのような人、見ていないです。」




真っ黒な闇に突き落とされるような感覚。

「じ、じゃあ!」

食べられたって言いたいんですか?

言葉にならなかった。




そこから先は、覚えていない。

しのぶさんの陶器のような肌を見つめて、泣いた気がする。
須磨さんに抱きつかれ、
また天元様に撫でられて、
天元様の家の居候になった。

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作者名:アスパラベーコン | 作成日時:2023年12月3日 0時

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