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英雄色を好む ページ3

遠くで、話し声が聞こえる。

うっすらと目を開けると
知らない天井が見えた。

体を起こして、ぼんやりと周りを見回す。

天井の色も、
あざやかな襖の柄も、
光の差し方も、
やっぱり、知らないところだ。

「ここ、どこ?」

つぶやいた言葉が、不安げに反響した。

朝の光は眩しく、心地よい。

もう少しだけ、寝ててもいいよね。
何かあったら、輝が起こしてくれるし。

働かない頭で考えて、もうひと眠りしようとふたたび体を寝かせた。



バァン!



「起きたんですね?!」

「ぇ?」

障子が勢いよく開いて、突然の大声に、横たわったまま目を見開く。
慌てて起き上がった。

突然入ってきたお姉さんは、アリアの肩を勢いよくつかむ。
そのまま抱きつかれて、ただただ、相手の勢いに飲まれるアリア。

何?
誰?

「よかったですよぅ!」

「え?」

「このまま意識が戻らないんじゃないかとおもいましたぁ!」

「わ、たし、お屋敷に。」

「やっぱりあの現場の関係者ですね?!」

「えっと、」

「本当よかったですよ!無事で〜!」

綺麗な黒髪を振り乱し、ついには泣き出してしまったお姉さん。

どうしたものかと、困っていると、

「コラ!須磨!騒ぐんじゃないよ!」

またまた突然、ひとつに結わえた髪を振りながら、違うお姉さんが入ってくる。
で、すごい剣幕で怒鳴る。

アリアと目が合うと
ハッとしたような、
喜んでいるような、
はたまた、憐んでいるような。
なんとも言えない顔。

アリアがお姉さん達を順番に見て、

アリアの横で泣いている、
この人が須磨さん?
なんて思った時にはもう、

「天元様!」

朱色の着物をなびかせて行ってしまった。

「天元様?」

誰のことだろう。

極彩色→←緑雨



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作者名:アスパラベーコン | 作成日時:2023年12月3日 0時

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