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緑雨 ページ2

獣のような息づかい、

ぶつぶつと何かを喋る声、

雨の音にかき消されそうなそれを、ひとつひとつ拾う。

夜はもう明ける。

太陽さえのぼってしまえば、こっちのもん。

そう思いながらも足を速める。

油断はできない。

そいつはついさっき、大きな屋敷で人を喰った。

この辺りで1番の、大富豪の屋敷だ。

屋敷の使用人も、

当主も、

屋敷の中の人間は、全員鬼に食われていた。

あの様子じゃあ、相当強くなったはずだ。

鬼の気配がいきなり近づいた、と思った瞬間、

銀色の細い糸の向こうに、そいつの背中が見えた。

人の形をしている。

茶髪は雨に濡れ、細身の体に羽織が張り付いている。

なんだ、

なぜ立ち止まった?

張り詰めた空気に頬がピリピリと痛む。

俺に背中をむけているそいつからは、警戒や威嚇の気配を感じない。

そっと後ろからまわり込む。

水溜りを避け、そいつの死角から近づいた、その時だった。

見えた。

俺とそいつの向こうに

女が倒れていた。
 
あの女を食おうとしているのか。

だが、そっちに気がいっているなら好都合。

今なら殺れる。

間合いをはかり、静かに腕を振り上げた。

刹那、

やつは動いた。

速い、

早い、

迅い。

女がやられる…!

1泊送れたが直ぐに駆け寄る。

可能性を考える。

しかしそいつは真っ直ぐに走り、

塀の向こうへと消えていく。

女は…!

無事だ。

少し拍子抜けしたが、

鬼が日の光を浴びながら、人を喰らうことより、逃げることを優先したのだ。

やはり、知能がある。

相当食べてる。

朝日が登ってきた。

雨の雫が反射してひかる。

女を拾う。

気絶しているのか、寝ているのか、

そもそもどうしてこんなところに倒れているのか。

聞きたいことは山ほどある。

この外見だと、少女って感じだな。

朝日に照らされた金髪が、蜂蜜のようにキラキラと輝いた。

涼しげな色の着物は少し汚れているが、見るからに高い上質なものだ。

なにか、ド派手な事情があるのだろう。

男は考えた。

この男は音柱、宇髄 天元である。

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作者名:アスパラベーコン | 作成日時:2023年12月3日 0時

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