ep7 ページ7
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彼との時間は長くは続かなかった。
ちいさな国を片っぱしから探し回って、ようやく僕のうちにたどり着いた綺麗なスーツを着たおじさんは、僕に頭を下げた。
外に干していた彼のお洋服をとっさに後ろ手で隠した僕を見て、彼は申し訳なさそうに眉を下げる。
「おぼっちゃまがお世話になったようで」
予測していたタイムリミットに、ショックを隠せなかった。
「国王が、大変心配しておられます」
やっぱり、なんだかそんな気がしていた。
みんなが噂していた通り、彼は女王さまによく似てとてもきれいな顔をしていた。
僕は俯いたまま涙をこらえて、頭を下げた。
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そのまま部屋に戻って、ベッドで気持ちよさそうに眠る彼の頬に触れる。
「......ん、ゆうり？」
ぼさぼさの髪の毛と、寝ぼけた笑顔が可愛かった。
ベッドから手を伸ばしてくる彼をやんわりと避ける。
「おそとにね、ハトがいっぱいきてたから追い払ってきて」
「はとー？んふふ、こわかったの？」
すぐに立ち上がろうとする彼の手を咄嗟に掴んでしまって、くちびるを噛んだ。
「ん？どうしたの？」
行かないで、置いていかないで、
でも、ダメなの。
彼が出ていってすぐ、うちの鍵を閉めた。
外から聞こえる彼の声を聞かないように、耳をふさいで目を閉じた。
身の程知らずだったと思う。
おうじさまと恋をして、僕は子どもを産むことだってできないのに。
ひとりぼっちが、ひどく怖くなってしまった。
どうして母は僕を産んだんだろう。
こんなにもつらいのに、こんなにもくるしいのに。
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作者名：なん
| 作成日時：2017年4月28日 0時
