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イルミside
リュビの後について行くと、辿り着いたのは色とりどりの花々が咲き誇る庭園だった。
素人目に見ても花色の配置や花々の高さなど、それぞれの花が最も美しく見えるように計算され尽くしている庭園だとわかる。
手入れの行き届いた綺麗な庭園だった。
その溢れんばかりの花の中にAは居た。リュビはAに近づくと、鼻先でAをつつく。
Aは振り返ると驚いたように少し眉を上げた。
「やあ」
「ごめん、来てたの気が付かなかった」
そう謝るAの全身は、今日も白に染まっていた。
「死体、地下に置いておいたから」
「ありがとう」
「何してるの」
「人形に入れる花を摘んでたの」
Aの足元には地下室にあったものと同じ花の詰まったバスケットが置いてあった。
「ふぅん………」
「ご覧の通り、花はたくさんあるからね」
とAは目の前の花に視線を戻すと鋏で花弁を切りとってバスケットに入れてゆく。鋏は銀製なのだろうか、金属とはまた違った輝きを放っていた。
たった一人でこれだけの広さを手入れするには骨が折れるだろう。
「綺麗な庭だね」
「_______この庭、お父さんが大切にしてたの」
パチリ、
Aは鋏を鳴らし花を切り取ると、その花をじっと見つめる。Aの藍色の目に、何故か悲しげ色が浮かんでいた。
その姿に、ぞくりと背中が震えた。
悲しみに染まったAの藍色の瞳が、恐ろしいほどに美しかったのだ。
そういえばリュビの瞳もこんなふうに澄み切った色をしていたっけ。
それは例えばまるで、宝石の様に。
「……これから人形に花を詰めるの。見ていく？」
「うん」
何かを振り切る様に笑うと、Aはバスケットを持つと花を入れて立ち上がり服の土を払った。
先刻までAの瞳に浮かんでいた悲しげな色は、いつの間にか瞳の奥に融けてしまっていた。
もっと見ていたかったのに、残念だと思った。
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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - ずっと前から記憶に残る素敵な作品です……二周目読んで大号泣しながら携帯握りしめてました……。作者様ありがとうございます、この様な作品が再び読めて本当に嬉しいです。 (2020年3月20日 22時) (
レス) id: 059aca8b09 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ(プロフ) - 日本語も発想も舞台も物語も綺麗で美しくて、大好きな作品です。こんな素晴らしいお話を残してくださってありがとうございます。読むことができて幸せです。 (2020年1月26日 0時) (レス) id: 9668003c28 (このIDを非表示/違反報告)
満月。碧蒼(プロフ) - 柴山犬さん» 此方こそ本当に有り難う御座いました！ (2019年4月29日 8時) (レス) id: d8fdca1aee (このIDを非表示/違反報告)
柴山犬(プロフ) - もうかなり前に完結した作品なのに、コメント本当にありがとうございます…！満月。碧蒼さんにうっとりしていただけて、私としても嬉しい限りです。また思い出したときにでも読んでやって下されば、本当に本当に幸いです…！ (2019年4月27日 22時) (レス) id: f9baa8e5f4 (このIDを非表示/違反報告)
満月。碧蒼(プロフ) - 本当にもう...息が出来ないくらいに最高でした！うっとりしてしまいました... (2019年4月22日 20時) (レス) id: d8fdca1aee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴山犬 | 作成日時：2016年9月4日 23時
