極大イベント ページ6
5月2日
PM 14:06
「……じゃあお願いだから言った通りにしてよ」
【リュイ=イシュタリア】
と書かれたプレートが横に貼り付けてある、スライド式の白い扉の前。
ブラウスと青いロングスカートに身を包んだAは、隣に立つヒソカに再三の釘を差した。
「わかってるって♥」
面会許可証の入ったネックストラップの紐を指先で弄りながら、ヒソカはAに向かってニッコリと笑みを浮かべた。
今のヒソカは普段はアップにしている髪もおろし、ピエロを模したメイクも全て落としている。
いつもの胡散臭い道化のような見た目からかけ離れた容姿から放たれるイケメンオーラには、受付の看護師やすれ違う女性たちが思わず頬を赤らめたほどだ。
……ただ一人、その横を歩く少女を除いては。
髪を下ろしてメイクを落としたヒソカを見てAは一瞬だけ首を傾げたけれど、特に深く追求してくることもなかった。
「ボクと君は同じ貿易商で働いてる、ただのお友達。だろ？」
「友達だなんて誤解を生む発言はしないで。これ以上あの子に嘘は吐きたくないの」
疲弊した顔のAは今日何度めかもわからないため息を吐いた。腕に抱えた花束の花弁が揺れる。
先日のヒソカの「顔がわからないとうっかり殺しちゃうかも☆」発言。それによりこうして仕方無しにヒソカを弟の面会に同行させることになったわけだが…もちろんコンディションは最悪と言わざるを得ない。
ただでさえこの男が傍にいるときは胃が荒れるというのに、これから厄災級のストレス因子を弟に会わせるという極大イベントに今にも胃がねじ切れそうなのだ。
腹部を抑えながら青い顔をしているAを見て、対象的にクツクツと楽しげにヒソカは笑う。
Aといるときは大概ご機嫌なヒソカだが、今日はいつにも増してレアな表情を見せる彼女が面白くて堪らないのか、彼の口角は上がりっぱなしだ。
「…絶対に変なことしないでね」
「大丈夫だって♦」
もう一度胸に手を当て、Aは深く深呼吸をする。そしてゆっくりと白の病室の扉を開いた。
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がー(プロフ) - 大好きです!!!更新待ってます！！！！！ (2019年11月11日 22時) (
レス) id: 8eb0f6b23c (このIDを非表示/違反報告)
柴山犬(プロフ) - Kさん» コメントありがとうございます。今回の作品は二人のそこはかとない切なさを表現していきたいと思っていたので、Kさんにその切なさを感じていただけて本当に幸いです。のろのろ更新ですが、どうぞ最後まで見守ってやってください…！ (2019年6月17日 22時) (レス) id: f9baa8e5f4 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 初めまして。切なくて素敵なお話にとても引き込まれました...！応援してます。 (2019年6月14日 10時) (レス) id: 8eeddf36f5 (このIDを非表示/違反報告)
柴山犬(プロフ) - 流-ながれ-さん» コメントありがとうございます！文字数は本当に毎回ヒイヒイ言いながら書いてます……。それでもこればっかりはどうしようもないので、書き手の技量の見せ所なのでしょうね…（遠い目）更新頑張ります！どうかどうか、最後までお付き合い下さいませ…！ (2019年4月9日 1時) (レス) id: f9baa8e5f4 (このIDを非表示/違反報告)
流-ながれ-(プロフ) - 文字数には自分も四苦八苦してますw色々大変ですよね…更新待ってます！ (2019年4月7日 17時) (レス) id: f58151c97d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴山犬 | 作成日時：2019年3月12日 22時
