やっぱり噛み合わない ページ18
なんの変哲もない普通のお菓子たち。でも不思議なのは
「どこから出したの？」
ポケットを探るような仕草はしていなかったはずだとヒソカの行動を思い返す。
「忘れたのかい？ボクは奇術師なんだからこんなことは造作もないさ♦」
「…？…道化師って言ってなかったけ？」
「どちらでもあるよ♣ほらボクって欲張りだから♥」
「ふぅん…」
普段は変な服を着てピエロのメイクまでしてるくせに、自分の肩書にこだわりがあるのかないのかよくわからない人だ。
「気持ちは嬉しいけど、あの子は病院のご飯しか食べられないの。だから、」
「違うよ♠これはキミにあげたんだ♣」
ヒソカに返そうと手を伸ばせば、彼は薄く笑いながら伸ばした手を軽く握ってきた。
「私に？」
「もちろん♥」
頷くとヒソカはひょいと私の手からお菓子をひとつ摘み上げて、パリパリと包装紙を剥がす。自分で食べるのか、と思ったら
「…ん、ぅ？」
唇に硬い何かが触れて口に押し入ってきた。甘い匂いが鼻を抜ける。戸惑っているとヒソカの人差し指がふつりと唇を押して、離れた。
舌で口内を探ると甘く丸いものに触れた。…ええと、アメを食べさせられた のだろうか。
首を傾げれば、それに合わせてヒソカの首も傾いた。
「ここでキミが笑ってくれるのがボクのシナリオだったんだけど♣」
「何で笑わなきゃいけないの？」
「甘いモノを食べると人は笑顔になるものじゃないのかい？」
特に女の子は。とヒソカが不思議そうに付け加えてきた。
「そんなの人によるでしょう」
「ボクは甘いモノ好きだけど♥」
「…貴方とはたまに話が噛み合わなくなるよね」
ヒソカとの会話が噛み合わなくなるのは今に始まったことではない。別にいいけど、と口の中だけでつぶやいて、兎に角、とヒソカに向き直る。
「生憎だけど、私は甘いものをもらって笑うとかそんな愛想は持ち合わせてないから」
「残念♦」
知ってました♥と言わんばかりに、ちっとも残念そうに見えない笑顔でヒソカは喉を鳴らす。
…なんだかいいように遊ばれている気がする。まあ実際そうなんだろうけど、こうも遊ばれてばかりではあまりいい気はしない。
「でも、ありがとう」
こんな私でも、ちゃんと人並みに笑うことくらいはできるのだ。
たまにはあちらの不意をついてやろうと細めた視線の先にいたヒソカが、今まで見たことのないくらいにびっくりした顔をしていたから、今回はこれでおあいこということにしておこう。
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がー(プロフ) - 大好きです!!!更新待ってます！！！！！ (2019年11月11日 22時) (
レス) id: 8eb0f6b23c (このIDを非表示/違反報告)
柴山犬(プロフ) - Kさん» コメントありがとうございます。今回の作品は二人のそこはかとない切なさを表現していきたいと思っていたので、Kさんにその切なさを感じていただけて本当に幸いです。のろのろ更新ですが、どうぞ最後まで見守ってやってください…！ (2019年6月17日 22時) (レス) id: f9baa8e5f4 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 初めまして。切なくて素敵なお話にとても引き込まれました...！応援してます。 (2019年6月14日 10時) (レス) id: 8eeddf36f5 (このIDを非表示/違反報告)
柴山犬(プロフ) - 流-ながれ-さん» コメントありがとうございます！文字数は本当に毎回ヒイヒイ言いながら書いてます……。それでもこればっかりはどうしようもないので、書き手の技量の見せ所なのでしょうね…（遠い目）更新頑張ります！どうかどうか、最後までお付き合い下さいませ…！ (2019年4月9日 1時) (レス) id: f9baa8e5f4 (このIDを非表示/違反報告)
流-ながれ-(プロフ) - 文字数には自分も四苦八苦してますw色々大変ですよね…更新待ってます！ (2019年4月7日 17時) (レス) id: f58151c97d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴山犬 | 作成日時：2019年3月12日 22時
