＃１８ ページ18
Aside
数分前の脳天気な私を恨む。
せめて隠れとけばよかった。
今私は前を向けない。
やばい。
お怒りでいらっしゃる。
どうすれば
「なあA、」
「ひゃい」
「別れるってどういう事？」
「エースの、邪魔、したくなくて」
どうにかこうにか紡いだ意見は遮られる。
「で？俺がいつ邪魔って言った？」
「っ」
あなたが言ったのではないか、
今はガールフレンドとかはいらないって。
女子の考えてることなんて意味わかんねーし、いないほうが気楽だって。
悔しさで涙が滲む。
こっちのほうがいらないって言われたのにどうしてエースがキレているのか。
悲しいのは私の方なのに。
「だって、」
「…」
「エースが、言ってたんじゃん、今はガールフレンドとかはいいって。
女子の考えてることなんて意味わかんねーし、いないほうが気楽だって。」
エースが言っていたことを口にするたびに涙が溢れる。
「もしかして、昼の」
やっと気づいたようで、
「気づいた？ならもう分かったでしょ――」
「Aはガールフレンドじゃねぇよ」
「 は」
「ガールフレンドじゃなくて――」
「っ、なに、それ。」
どうやら私は彼女ですらなかったらしい。
なにそれ
そんなの
惨めすぎる
「じゃあ、なんで、」
なんで優しくしたの
かわいいって言って微笑んできたの
”好き”って言ってきたの
全部全部全部全部
遊び？
いや、
「遊びですら、なかったんだね、私って」
「は、なに言って…」
もう声も聞きたくない。
もっと悲しくなるから。
いや、
こんなに嫌な気持ちになったのに未だにエースのことを好きなままでいる自分に嫌でも気づいちゃうから。
「あれは、」
好きだったのだって私の方だけなんでしょ。
そんなの嫌だ。
嫌だ、
聴きたくない、
ここから逃げ出したい、
扉の方へ向かった私の肩をエースが掴んだ。
逃げたい、逃げたいが振りほどけない。
力の差なんて分からなくなるくらい優しく掴まれているのに。
「きいて」
目をじっと見つめながらそう言われてしまっては頷くほかなくて、
逃げたい、逃げたいが振りほどけない。
力の差なんて分からなくなるくらい優しく掴まれているのに。
それもそのはず、まだエースのことが好きだからだ。
「きいて」
目をじっと見つめながらそう言われてしまっては頷くほかなかった。
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作者名：ぬぬぬ | 作成日時：2023年7月8日 18時
