エースのガールフレンドだと思っていたら本当はそうじゃなかった子の話 (ページ11)

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＃１１ページ11

ユウside

Aは結局逃げ切れずすべてを白状した。

彼氏が誰なのかは伏せられたが。

最初こそニヤニヤしていたユウだが、途中から真顔になっていた。
「…つまり、家が複雑だった影響で男として彼氏と同じ学校に入学しなきゃいけなくなってそれを打ち明けられないまま自分だと気づかれず今まで過ごしてきたけどたまたま『ガールフレンドとか今は面倒くさい』と言っているのを聞いて、別れたほうがいいと思ったけどどうすればいいか分からないから、女子だとわかっていた自分に相談するために来たと」
「うわノンブレス」
「ジャパニーズヲタクのお家芸よて、そこはどうでもいいのよ」
淡々と事実確認する。

人払いはついさっきメッセージでした。
彼氏さんの言葉に僅かに既視感を覚えるが知らないふりをする。

「そう。すぐにでも別れたほうがいいと思ったんだけど、自然消滅したのかもだし…」
「確認すれば？」
「そんな勇気ない…」
普段はイケメンって感じの雰囲気を出す相手がしょも…としている。

不覚にもかわいい、と思ってしまった。

「でも、別れたほうがいいって思ってるんでしょ？」
「うん…」
「じゃあハロウィーンにしたら？その時なら女の状態のAが居ても違和感ないでしょ？」
「えぇ…でも、」
「でも？」
「早く開放してあげたい…」
いっぱい迷惑かけてるはずだし、と彼女は小さく付け足す。
「本音は？」
歯切れの悪い返事を遮るように言う

「…もう別れちゃうから最後の思い出に直で”私”として会って話したい。」
「でしょ？」

「でも、そうすると踏ん切りがつかなくなっちゃうってことが目に見えてる。」
思っていたより彼女は冷静だった。

「電話じゃだめ、かな」
せめて最後に声だけは聴きたいから。
彼女が呟く。

悪くはないとは思う。

思うが、

「いつ、どこで電話するの？」
「あ、」
これは決めてなかったんだろうな。
少し考えて彼女は答える。
「今日、じゃだめかな」
早くない？
そう思ったが口には出さない。
幸い今日は金曜日だ。
別れてすぐ学校で顔を見るなんて辛いだろう。

「良いんじゃない？」

私は彼女の決断を止めることができなかった。