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カフェのなかで流れる音楽は、心地好くて少し眠くなる。
お客さんの話すやらかい声がまるで魔法のように溶け合っていく。
元々ここはわたしのおじさんが経営しとる。おじさんは昔、ダンスの先生をしとって、照史くんはその生徒。
色々な縁があって、開店当初からこのお店にお世話になっとる。
「A、これ」
「はい」
……んーええ匂い。照史くんのつくる料理はべっぴんさん。
受け取ったお料理を20代のカップルのテーブルに運ぶ。
「お待たせしました」
わぁ美味しそう。なんて声を出すお客さん。
わたしが作ったわけでもないのに、やっぱり嬉しくなる。
「ここのお料理のファンなんです!」
「わ、そうなんですか?」
「彼女に教えたらハマっちゃったみたいで」
クスクス笑いあうカップル。まだ手に指輪はないけれど、どこか幸せそうでええなあって会話そっちのけに思う。
カランカラン。
お店のドアが開く音。
「いらっしゃいませ…あ、」
入ってきたのは那伊留。
バチっと目が合うと、ふんわり笑う。どき、恋愛漫画みたいにその笑顔に思わず痛む胸。
そのままリュックをおろし、カウンター席に座るから、慌てて接客に戻る。
アカンアカン。また怒られてまう。
「…ではごゆっくりどうぞ」
にこり、微笑み返してもらい、定位置へ戻る。
「がんばっとるな」
わたしのエプロンの裾を掴むその手。
ぐい、と前に進めへんくなる。
「業務執行妨害」
ほんまは嬉しいのやけど。
照れて反応に困ってまう。
「なあA、」
「ん?」
「今日のオススメはなに?」
「…野菜カレーかな。今日美味しい野菜手に入ったって言うてたから」
「そうなんや。ほなそれ頂戴」
「ここで食べてくの?」
「おん、部活終わってお腹ペコペコやねん」
「そっか。分かった」
そんなわたしに、笑顔が足りひん。なんてまた笑う。
じゅうぶん笑っとるのに。あほちゃう。
「ご注文の多いお客さんやな」
むに。笑いながら目の前の頬をつかむ。
「お客さんに悪戯しないでください」
意味の分からんくだりに、二人で笑いあう。
好きやねんな、こういう時間。
「おい、イチャコラすんな」
やけど突然キッチンから出てきた照史くんに頭を叩かれ
自分の業務を再開する。
やっぱり怒られた。
残り30分。
がんばろっと。
たまに合う視線に、ドキドキしたりしなかったり。
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えいみ(プロフ) - 涙花。さん» 待ちます待ちます!!! (2017年7月9日 15時) (レス) id: 98fff2d12b (このIDを非表示/違反報告)
涙花。(プロフ) - えいみさん» fin.にしていますが実はまだまだ書くつもりですのでお待ち頂ければありがたいです、! (2017年7月9日 0時) (レス) id: f3e5fdec58 (このIDを非表示/違反報告)
えいみ(プロフ) - 終わっちゃったー!!!ビックリしました! (2017年7月8日 8時) (レス) id: 98fff2d12b (このIDを非表示/違反報告)
えいみ(プロフ) - 涙花。さん» いえいえ、これからも頑張ってください! (2017年7月6日 20時) (レス) id: 98fff2d12b (このIDを非表示/違反報告)
涙花。 - えいみさん» レス共に更新、遅くなり誠に申し訳ありません。素敵なコメントありがとうございます(^^) きゅんとなる純粋なお話にすることが第一目標でしたのでそういっていただけ嬉しい限りです。 (2017年7月4日 22時) (レス) id: 3f199a5903 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涙花。 | 作成日時:2017年3月10日 7時