立ち向かう ページ15
Aside
家の中に入ろうとしたときだった。同じ経験をしたからこそ、わかることなんだろう。気配、というか、何かを感じて、足を止め、特有のエメラルドのような目を揺らした。
そんな私を見て、後ろにいたまふ、うらたん、あまちゅはどうしたの？と聞いてくる。でも私はすぐ行かないと危ない、そう感じ、急いで走り出した。
う「え！？A！？」
ま「え！？そ、そらるさん！！そらるさん！！」
なんて聞こえるが聞こえないふりをして勘が働くままに走った。走って、走って、“そこ”私の何かがそう言っている。
そこは桜の木が一本、周りには家も、なんもなくて、穏やかな、そういう場所だった。私の古い記憶が目を覚ました。ここは、私が捨てられた場所。
近寄ると徐々にダンボールのようなものが見えてきて中を覗きふたを開けると可愛いのがいた。
「「…」」
犬とたぬきがいた。二匹とも私を睨んでいるような、それでいて助けてほしい、そう訴えるような目で見てきた。
バタッ…
抱き上げようと手を伸ばしたときだった。二匹とも倒れ、息を荒くしていた。このままじゃ危ない、そう思って声を出そうとしたが人影が見えた。
急いで二匹を抱え、走り、近くの路地に入った。こっちに向かってきた。音を出さないようにしようと思い、息を殺す。
通りすぎた、そう思いはぁ、と息を出したときだった。
カタッ…
息をつき、手を地面につけたとき、たまたま石に手があたり、その石が壁にあたった。もちろん、気づかないわけがない。男は口角をあげた。
「誰もいないから帰ろうと思ったけどよ、残念だったな。…お前は見逃してもいいぜ？その代わり、それをよこせ。金になる。」
その男が指した“それ”とは私が抱えている二匹だった。怖くて動けなくてどうしようもなかった。
男はにんまり、と笑みを浮かべ手を伸ばそうとする。くたっとなった二匹は助けて、そう言っているようだった。
私は立ち上がった。
『だめ…』
「やんのか？あ”ぁん？」
怖さに足がすくみ、震える。でも私は手を広げ二匹を庇う形になる。そんな私に舌打ちをする。
恐怖に負けそうになる。それでも前に立つ。
弱くたって、小さくたって、それでもいいから…
私だって“ヒーロー”になりたいんだ！！
私はその一心で前に立つ。男は手を振り上げようとする。怖い、それでも前に立って動かない。
ヒーローになるんだ…
ただ、その一心で。
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紅華 - コメント失礼します。莉犬くんの一人称"僕"じゃなくて"俺"です。そこがやっぱり気になっちゃって（＞人＜） (2019年10月10日 21時) (
レス) id: bbc4110774 (このIDを非表示/違反報告)
秋原カエデ - 面白い！笑っちゃう時もあるし、ドキドキする時もある。てかこれ程アンチを潰したいと思ったことないです(真顔) (2019年8月8日 23時) (レス) id: bda1ec34af (このIDを非表示/違反報告)
でんぷん糊 - すみません、Eve君の一人称は俺じゃなくて、僕です。 (2019年5月29日 22時) (レス) id: 54b9eda35c (このIDを非表示/違反報告)
ほわほわセンラー(プロフ) - 面白いですね(*^_^*) (2018年8月25日 0時) (レス) id: f570358587 (このIDを非表示/違反報告)
オラフ(プロフ) - 高く〜のところひとりで笑ってしまいましたトイレットペーパーのところも面白かったですこれからも頑張ってください (2018年8月22日 2時) (レス) id: 938ccee61b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2018年5月20日 23時
