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桐山「淳太くん来たで？入るよ？」
淳太の家は、玄関の鍵が開けっぱなしで
部屋の電気は消えたままやった。
一瞬家にいないんかと思ったけど、
リビングから唸るような泣き声が聞こえてきて
なんとなく予想していたことが現実であることを痛感する。
そもそも何の状況も分からへんまま車に乗り込んで、
淳太とつながったままの照史の携帯が、
なぜか自然と俺の手元に回って来た。
渡してくれたんは神ちゃんやったかな。
しげやと冷静に話が出来へんと見込んだんやと思う。
とりあえず電話に向かって何度も声をかけても
淳太からまともな言葉一つ返ってこなくて。
ああこれは、体調以前に心の問題やろなって
そう考えが至るまでに時間はかからへんかった。
先陣を切って歩く照史の後ろをついてリビングに入ると、
ソファーにうずくまる淳太の背中…
以前に、足場がないほど物が散乱した部屋が目に入って
心臓がドクンと音を立てる。
なんやこれ。何が起きとる。
振り返ると、同じく目を真ん丸にして
ぼんやり立ち尽くすしげと、その肩を支える流星。
さらにその後ろには、望と神ちゃんが不安げにこちらを覗いとる。
桐山「淳太くん、照史やで。おーい、笑」
中間「…っ、え、なんで…、」
それでも照史だけは、狼狽えた素振りも見せず
淳太の元へ一直線に向かって行って。
その声に顔を上げた淳太が、
心底驚いたように真っ赤に腫らした目を見開く。
中間「……あ、しゅうろく…、えと、」
�霤帖崋�録は延期にしてもらったから安心してええで。…淳太？」
俺らの顔を見て収録の事を思い出したみたいなんやけど、
キョロキョロ辺りを見回したかと思えば、
見る見るうちにまた目に涙が溜まっていく。
桐山「淳太くーん、大丈夫やで。ゆっくり息しよな」
中間「…はっ、どうしよっ…はぁっ、しゅうろく…っ！」
ヤバい…！と思った時にはもうほとんどパニック状態で、
多分今の淳太には何を言っても届かへん。
今にも暴れ出しそうな淳太を半分押さえつけるような形で
照史とアイコンタクトを取る。
ここじゃ落ち着くもんも落ち着かへんし、
照史が淳太を寝室に連れてくことになった。
その間に、俺はもう一つやらなあかんことがあるしな。
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作者名：猫丸子 | 作成日時：2022年9月19日 3時
