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神山side
のんちゃんのことはみんなで気にかけていたんやけど、
いざ水族館に入ると圧巻の景色に気を取られてしまった。
最後尾を2人で歩いていたはずなのに、
気づいたら俺一人しかいなくて慌てて振り向くと、
大粒の涙をボロボロこぼして震えてるのんちゃんの姿。
慌てて駆け寄って外に連れ出すと、
気が抜けたのか地面にペタリと座り込んでしまった。
小瀧「……っ、はぁはぁはぁっ…ゲホッ、はぁっ！」
神山「大丈夫大丈夫。大丈夫やで」
小瀧「……うぅっ、はぁ！はぁはぁっ…くるしっ、」
神山「…苦しいなあ。のんちゃん、一回深呼吸してみよっか」
小瀧「…スーーっ、はぁはぁ、スッ、ゲホっ！はぁーーー…っ、」
必死に呼吸するのんちゃんの背中をさすって
少しでも安心出来るように声をかける。
深呼吸を促すと、次第に呼吸も落ち着いてきた。
神山「ごめんなのんちゃん。俺がちゃんと見てなかったから」
小瀧「…ちがっ、神ちゃんのせいじゃない、俺が弱いからっ…」
神山「んーん。それはちゃうよ、絶対ちゃうから」
また涙が止まらなくなってしまったのんちゃんの頬を撫でて
こぼれ落ちる涙を何度も何度も拭う。
神山「車戻ろうか。お水飲んでゆっくりしよ？そんなに泣いたら脱水なっちゃうで？笑」
小瀧「でも、」
そこに一件の着信が入って、相手は照史。
急にいなくなった俺らを心配してくれたんやろう。
スピーカーで応答すると、優しい声が聞こえた。
桐山『もしもし神ちゃん？望あかんかった？』
神山「うん、まだあかんかったな。もう車で休ませようかと思って」
隣に立つのんちゃんを見上げると、
悔しそうに眉をひそめて画面を見つめてる。
桐山『わかった。こっちも上手いことやっとくわ』
小瀧「……あきとぉ、」
桐山『…ん？のぞむ？大丈夫かあ？こっちのことは心配せんでええからね』
かと思ったら小さく口を開いて、
いつもは考えられないくらいか細い声で照史を呼ぶ。
小瀧「おれがんばりたい、そっち行く、」
神山「のんちゃん…」
桐山『無理せんでええんよ、望。しんどいんやろ？無理に怖い思いする必要ないよ』
小瀧「ううん、行く。行くから待っててほしい」
縋るように俺を見つめる目は真っ赤でビチャビチャ。
それでものんちゃんがそう言うならと、
手を取って再び水族館に足を踏み入れた。
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作者名：猫丸子 | 作成日時：2022年9月19日 3時
