. ページ13
.
重岡side
泣きながら何度もしげ、しげ、と俺を呼ぶ淳太は
本当に消えてしまいそうに儚くて。
急いでベッド脇まで駆け寄ると、淳太はこちらに向かって
ゆっくり手を伸ばして俺の頭にポンと乗せた。
重岡「なに、」
中間「…泣かないで」
重岡「は、…っ」
「泣いてんのはそっちやろ」って悪態をつくはずだった俺の喉は
意思とは正反対にギュッと閉まりやがって
代わりに涙が出た。昨日もあんなに泣いたのに。
重岡「じゅんた、ごめんっ…、ごめんなあ…」
頭に乗った淳太の細くなった手が俺の頭を何度も行き来して、
照史の大きな手が俺の背中をさすっている。
俺のごめんを聞く度に、
淳太はフルフルと弱々しく首を振ってくれた。
中間「しげのせいじゃないよ」
重岡「でも…、」
中間「自分のこと、せめないで」
淳太に直接謝れたこと、淳太が優しく接してくれたことで
俺の中のモヤモヤがようやく完全に晴れた気がして。
淳太の体調はきっとすぐには良くならないけど、
それまで俺に全力でサポートさせてほしいと言ったら
「大げさやな」ってふわりと笑った。
桐山「よし、淳太くんご飯食べようか。薬も飲んで寝ちゃおう」
時間が経って少し膨れてしまったおじやも、
淳太は出来る限り食べようとしてくれて。
これも俺に対する慰めなのかと思ったら、もう一生敵わない気がした。
…
それからの淳太は一進一退だった。
調子のいい時はご飯も食べてくれるし話してもくれるんやけど、
調子の悪い時は1日中泣いて、いやいやと駄々をこねたりもした。
最初のうちは台本を見るとパニックを起こしたりして、
もうドラマの撮影には戻れないんやないかと思ったけど。
なるべくストレスのないようにメンバーみんなで支え合って、
その結果、体力も徐々に回復して、段々といつも通りを取り戻していった。
1週間に設定されていた休養期間も、なんだかんだ1か月延長して
結果的にギリギリのタイミングで仕事に復帰した。
もう少し長引いてたら降板になるかもと聞いていたし、
うん、ほんまに良かった。安心したわ。
重岡「淳太、疲れてんちゃう。少し寝たら？」
中間「大丈夫やって」
重岡「昨日も夜遅かったんやろ…やったら、」
中間「大丈夫や！言うてんねん、笑」
俺は、相当過保護になってもうたけどな。笑
fin
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 456人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫丸子 | 作成日時：2022年9月19日 3時
