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小瀧side
ユーチューブの撮影で朝日を見に行くことになった。
コンビニでお菓子買ってみんなで騒いだり、
サービスエリアでご飯食べたり、
イントロクイズしたりと車内は常に大盛り上がり。
俺は初っ端運転も任されていたから、
意識がそこに集中していて後々のことを深く考えてなかった。
神山「のんちゃん、」
小瀧「…ん?」
神山「次、行くん水族館やん。大丈夫かなと思って」
サービスエリアを出て車に戻る道中、
意図的にカメラをオフにした神ちゃんが隣に来て。
さらに周りに聞かれないように、小さい声で話しかけてきた。
小瀧「……あ、」
神山「中入ってみんと分からへんかな。でも無理はせんとってな?」
昔海で溺れたかけたことがあってから水というものが大の苦手で、
酷いときは海での撮影で大きな過呼吸を起こしたこともある。
今まで水族館に縁がなくて気づいていなかったけど、
…水族館ってそうか、海よな、ほぼ。
いくら水槽の中とはいえ、
たくさんの水に囲まれた空間を想像するだけでゾッとする。
それからの車内は緊張を紛らわすために
イントロクイズで無駄にはしゃいだりして。
メンバーもそんな俺に気づかないふりしてくれたんやと思う。
なんだかんだで盛り上がっていると、
しげの運転であっという間に到着した。
夜遅くまで待っていてくださった係の方の話を聞いて、いざ入館。
夜だからか照明も薄暗くて、より一層恐怖に身の毛がよだつ。
冷静になれば意外と大丈夫やったと思うねん。
やけど、もう気持ちが怖いの方向にシフトしてしまって
大きな水槽を前にして、体が硬直してしまった。
メンバーがはしゃぎながらゆっくりと歩いていく背中を
1番後ろでぼんやり見つめる。
…待って置いてかんで、1人にしないで、
怖い怖い…!助けてっ!!
もう半ばパニック状態でブワッと涙が溢れてきて、
足に力が入らなくなってそのまましゃがみこみそうになる。
神山「のんちゃん…?ん、ごめんごめん気づかんかった、外出よう。な?歩ける?」
小瀧「……っ、」
すると、俺の1つ前を歩いていた神ちゃんが振り返って、
優しい笑顔のまま俺を外に連れ出してくれた。
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作者名:猫丸子 | 作成日時:2022年9月19日 3時