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元カノは意識してない。 ページ18

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「だぁざいぃ、コレが心中って云うの?」



Aは太宰に『此処の川にしよう!』と云われ、一緒に川へ飛び込んだ。

通行人たちはそんな二人を二度見したが、またお前等か、と無視をした。


そして、今。


二人は優雅に川に浮き、流れている。



「いや、これは単に川を流れているだけだよ」

太宰は云う。


「えぇ!?入水ってモノで心中ってモノ、やってみたかったのに!」

太宰の莫ァ迦!、とAは川を逆流する。



…が、川の流れには逆らえず普通に流れていっている。



「まあまあ、川を流れるのも意外と楽しいよ?」

ワケの判らない事を太宰は云う。



経験者は語る、そういう事だろうか。



マジで〜?、とAは云い、太宰と二人流されている。



「…ねえ、太宰」


「なあに?」


「超重大な事、訊いてもいい?」



太宰は察した。

あ、此れは絶対重要事項じゃあない、と。



「いいよ」

それでも、太宰は云った。



「我、金が欲しいんだよね」


「…探偵社に入りたいと?」



流石、太宰。


金が欲しい、と欲望を云っただけと見られたAの言動も直ぐに察した。

経験者は語る、そういう事だ。



「いや、マフィアでも良かったんだよ?中原いるし」



ちょっと嫉妬する、太宰氏。



「でも、我の隣はやっぱり太宰じゃないとシックリこないからさぁ」



川の水が冷たくて良かった、と太宰は思った。


Aの悪い処はアホ過ぎる処である。

人の気も知らずに思った事を云う、その行為で敵味方、男女問わず、何人が堕ちた事か。



「…社長に訊いとくよ」

太宰、撃沈。



「ホント?やった〜!」

A、歓喜。



別にAの事が好きなわけではない、ただ心にクるのだ。

その表情が、その言葉が、その優しさが。



「太宰とまた同じ職場だな!次はお前が先輩か!宜しく、先輩!」



ほら、また。



「まだ、入社してないからね」



気を紛らわすので手一杯だ。




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元カノは欲してない。→←元カノは心中を知らない。



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シュピーゲルアイ - 大好きです。更新待ってます。 (4月9日 21時) (レス) @page37 id: af33028691 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ - 好きすぎます (2月20日 3時) (レス) @page37 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
米粉めこ - 最高です!面白すぎて腹筋こわれましたwww (12月10日 18時) (レス) @page36 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - こういうお話好きです!続き待ってます!!! (2022年9月18日 16時) (レス) id: f16cf667ce (このIDを非表示/違反報告)
遠藤氏(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» 自分も笑ってこようって思いまして、入社試験の回を読もうと思ったらどれが入社試験の回なのかわからず、どうしてこんなサブタイにしたのか後悔してますwww (2022年7月30日 18時) (レス) id: d7905a84e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遠藤氏 | 作成日時:2020年5月13日 20時

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