愛したヒトの殺し方《セブルス・スネイプ》 (ページ7)

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Aが調合を始めてからしばらく経った。

私は提出物の採点をしながら、たまにチラリチラリとAを見やる。
魔法薬を作るAのその姿は、生前のAの姿を思い出させる。

『......。』

「......。」

『......できました。』

「っ！...そうか。」

採点を中断し、Aのところへ移動する。
鍋の中では、薄緑色の液体が煮込まれていた。

私が空きビンを渡すと、Aは「ありがとうございます」と言って、その空きビンを受け取った。

『もし、龍珠の代わりに仔犬の涙が代用できるのであれば、この薬は元の薬と同じ効果の筈です。』

そう言うと、作った薬をドロリと掬い、空きビン二つに入れた。

そうして厳重に蓋をすると、Aはそのビンの一つを私に差し出してきた。

「...？」

『スネイプ教授に差し上げます。』

驚いた。
まさか敵に治療薬を渡すとは。
いや、確かに私も闇陣営に(スパイとして)所属しているが。

...まぁ、私がしらなくとも、Aが一方的に知っているだけかもしれない。

しかしその考えは、直ぐにかき消された。

『何故でしょうか...スネイプ教授は、よく怪我をする気がするんです。
何と言ったらいいのか...分かりませんが、スネイプ教授は昔からよく怪我をするでしょう。』

...！

言葉を失った。
まさか、A...少しだけ、思い出している...？

『...とにかく、これはスネイプ教授に差し上げます。
私が使ってみて、危険でなかったら、使って下さい。』

「それでは」と言って、Aは鞄と教科書を持ち、扉へ歩きだした。

...A！

「___ｯAっ！」

パシッと、思わずAの腕を掴む。
Aは驚いていないのか、無表情で私を振り返り、「なんですか？」と問いかけた。

「...また、質問があったら来たまえ。
...時間があれば、答えてやらない事もない。」

『はい、ありがとうございます。』

そう言うとAは私の手から逃れ、扉を開けて出ていった。

...ハァ。

「もう少し、上手い言い訳があっただろうに...ｯ！
っ！...嗚呼！Aと、呼んでしまった...！」

私は、緊張でAの名前を呼んでしまった事を後悔していた。

頬が熱いのは、きっと緊張したから。
そうに違いない。