【Episode０-その後のおはなし】 ページ20
俺にとって今日は櫻が開花する時期なのに、
世間の中での今日は、木枯らしが吹く時期だ。
「ねえ」
「はい、どうしましたか」
病気が発覚してから、習慣になった朝のルーティンで多分毎朝疑問に思っているのだろう。
デスクの整理が終わったので、後ろで予定を確認するマネージャーに視線を移した。
「おれ、８月の半ば仕事でミスしたって書いてあったけど」
「はい。そうですね」
「今日は、大丈夫かな」
「大丈夫です。打合せでも完璧でしたから」
ありがとう。そう言って自分のデスクから手帳を取り出す。
１２月のページを開いて、マネージャーに見せる。
「区切りを、つけたいんだ」
「はい」
「大野さんと電話した」
「えっ、したんですか」
「うん。手帳見ながら電話するの、仕事だけにしたかったんだけどなあ……」
マネージャーは驚いたように、俺を見つめる。
俺は5月に智くんのとこに遊びに行ったことすら覚えていないのだ。
スラスラ話せたのは、手帳にある日記のおかげだった。
だから、きっと、堪えられなかったのだろう。
なんもわからない、ということが。
8月のあの夜に何があったか、俺は自分のことなのに何も覚えてなくて知らなかった。
「あのときのミスの理由がわかったよ」
「そうですか」
「架空の時間を埋めるのに精一杯だったんだろうね」
だから俺はそれに疲れて、智くんのもとに行ったんだろう。
そして、その翌日手帳を見ずに仕事に出かけたのだろう。
「実際、この半年くらいに起こった事件や政治について俺は何も知らなかった。
知識として頭に入れてあるけれど、実感が湧かないんだ」
「キャスターとして失格だ、と言いたいんですか」
「あはは、そうだね。コメントを求められても完璧に答えることが出来ない自分がもどかしい」
マネージャーは涙目ながらに俺を見つめた。
俺にかける言葉を考えているのだろう。
その優しさをも、俺は明日になったら。
悔しい。
悔しくて、たまらない。
胸を締め付けられるような思いをどうにか堪えて、笑った。
「ごめんね？こんな話して」
「……櫻井さん、あなたは自分が思っている以上に努力なされています」
「…ありがとう」
そう言うとマネージャーは困ったように笑った。
「きっと手帳に書いてあると思いますが、もう一回言います」
「うん」
「――大野さんに、相談してみてはどうですか？」
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はづき(プロフ) - かおりさん» こんばんは。ご覧になりましたか！私はあの映画の二人は最終的にですけど幸せな人生だったと思っています。しかしとても切ないお話でしたよね。。櫻井くんと大野くん幸せになって欲しいですよね。櫻井くんの人生に幸あれ！と思いながら書いています笑。 (2019年9月16日 12時) (
レス) id: 9ca762563c (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - こんばんは。更新ありがとうございます。ブラピの映画を観ました。なんとも切ない気持ちになりました(;_;)このお話の櫻井君と大野君が幸せになれますように…。映画の2人も幸せだったのかなぁ…。 (2019年9月11日 21時) (レス) id: 31a0e94711 (このIDを非表示/違反報告)
はづき(プロフ) - かおりさん» 嬉しいです！コメントありがとうございます！ (2019年8月3日 21時) (レス) id: 643d79763c (このIDを非表示/違反報告)
はづき(プロフ) - かおりさん» かおりさん、こんにちは！そうです、ブラピ…のやつです。ぜひぜひ！この作品の奇病はどちらかというと小説の方がほぼ近いのですが、映画もオススメします。好き嫌い分かれそうだなと思いますが私は好きです！夏休み間のみの毎日更新なのですが、楽しみいただけたら (2019年8月3日 21時) (レス) id: 643d79763c (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - こんにちは。毎日の更新ありがとうございます。映画ってあれですよね、ブラピの…。知ってるけど観たことがなくて。でもこの作品で興味が湧いたので、観てみようと思います。 (2019年8月3日 10時) (レス) id: 31a0e94711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はづき | 作成日時：2019年4月27日 20時
