桜咲く頃

一人一人、階段を上がり体育館のステージの上に立った



名前を呼ばれ、返事をする



長い時間が経った



いや、私には長く感じた…その方が正しいのだろうか



そして、来賓の方々から祝辞を頂いた



その後が本番だ



皆が自分で考えた言葉を言い、涙する者も居た



退場してから教室に戻った



最後に見る教室は、とても美しく儚く感じた



担任の先生が教室に入った



先生は涙を流した



流れ落ちる涙をハンカチで拭いていた



一人一人の凛々しくなった顔を見て、話し始めた



「今の歳を三で割る」



私達は今は十二才



だから、三で割ると四



先生が仰っていた事によると、今を朝の四時と考えるらしい



一生(72歳までだとする)を二十四時間にしてみると…と言う事だ



まだ私は日の出前なんだ



だから、今から進む



先生は百二十歳まで生きると言っていた



ふふっ…こんな時まで面白い事言って笑わせてくれるんだね



でも、長生きして欲しいな



だって、私は先生の事が好きだったから



先生は既婚者だから、勿論恋愛的な意味じゃない



ただ、憧れていた



どんな時も笑顔を絶やさずに私に微笑んでくれた



先生からの一人一人へのメッセージを読んで、何か目頭が熱くなってきた



あ、ヤバい、泣きそう



涙は止めて置いたが…笑



そして、最後に皆で写真を撮る時



私も先生と撮った



その時、私は最高の笑顔だっただろう



「中学でも頑張って」



そう言って、私の肩を優しく叩いた



今の私は少し顔が赤くなっているだろう



ﾄﾞｸﾝ



胸が震えた



やっぱり…大好き



肩には確かに温もりが残っている



私は帰り、車の中で少し泣き笑いをした



先生、ありがとう



大好きです



また会う日まで…