[２４才風丸]オトナの特権。[日替わり]

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愛の詩で蕩けたいの！ - 2024年5月6日

*今日の風丸さんは昏睡期です*

ぐき。
何かに躓き、履きなれないハイヒールを履いていた私はがくりと這いつくばる。
「な、何…！？ こんなところに…」
ばっと後ろを向くと、青い長髪の美青年が座っていた。
「…は？」
そっと近づいて肩を叩いてみても、起きる気配なし。
ひょっとして死んでる？と耳を近づけてみると、ゆっくりと深い呼吸をしていた。
これ…ひょっとして酔いつぶれてる、んじゃないかな。
だとしたらだいぶヤバい状態だよ。
まあ、まずこんなトコで寝てる人を放っておいては行けないし…
交番に通報ぐらい、してあげますか。
電話をして、しばらく横に座って待っていると警察の方が来る。
少し考えて自分の携帯番号を紙に書き、彼の胸ポケットに入れて立ち去った。
*
次の日。
夜に町をふらふら歩いていると、携帯が鳴った。
知らない番号に首を傾げながら出る。
「あの…前日、通報して頂いた者ですけど」
低く綺麗な声が耳をくすぐった。
一瞬聞き惚れてしまうくらいの美声。
「あ、どうも」
返事を返すと
「お礼がしたくて。…今からどこかで会えませんか？」
とお誘いがかかった。
どうしよ…でも、どうせ暇だしね。
行ってみますか。
*
指定されたお店に行くと、奥の席からあの青が見えた。
見つけやすくていいな。
テーブルに向かうと、相手も気付いたらしい。
席を立ち、ひらひらと手を振ってきた。
あの日は目を閉じた所しか見ていなかったけど、落ち着いた赤の瞳が綺麗。
薄い笑顔も格好いい。
「何か頼んでください。おごるから」
メニューを差し出され、
「それがお礼？」
聞くと、とんでもないと手を振った。
「これは急に呼び出したお詫びに。お礼は…何が良いです？」
さら、と髪を動かして首を傾げる相手。
真摯な表情でこちらを見ている。
昨日の泥酔っぷりからは想像の付かないしっかりとした大人っぷりに、少し虐めてみたくなった。
「…じゃあ、デートに連れてって下さい」
少し間を開けてから言うと、シンと沈黙が走った。
…え、なに？
尻軽だと思われた…？やだ。
ぱっと顔を上げて相手の顔を見ると。
「…っ、あ…すいません、黙って」
と相手が伏し目がちに目を合わせる。
頬はうっすらと紅潮していた。
驚いて思わずじっと見つめる。
「――あんまり、見ないで」
なんて片手で顔を覆い、目を逸らされた。
…なんか、可愛い？
これは良い縁、拾ったかも。
「お返事は？」
問うと、相手はふ、と笑って
「喜んで。」
と私の手を取ってくれた。

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