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「とにかく、見合った偏差値の大学を、来年までに入りなさい!今なら間に合うんだから!」
「…はい、お母さん」
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ピッ、と言う電子音。携帯を握りしめる。
「(…嫌だ、嫌だ!絶対戻りたくない!なんで私が…)」
母との電話。
それは、苦痛の時間だった。罵倒され、昔の話をされ、極めつけに大学に入り直せ。
ため息をつく。呪術高専に入る時、母の顔がチラついたのはこういった理由。
母は嫌いだ。でも、母に従わないとと本能で感じる自分も嫌い。
「どうすれば…」
「お困りみたいだけど、大丈夫?」
「わっ!?五条さん!?」
耳元で、声が聞こえて後ずさった。見れば、キョトンとした顔の五条さん。
「あ、その、母から連絡が来ていて」
「…にしては、随分と荒れてるみたいだけど。良ければ僕に話さない?」
「……いえ、そんな大したことでは無いので」
「いやいやいや、誤魔化さないで。全然大したことあるよ。だって、君のその性格や生き様が形成された1つの理由だからね」
「大袈裟ですね。とても稚拙で、飽き飽きするお話ですよ?」
「聞こうじゃない」
はぐらかそうとしたけど無駄だった。私は、重い口を開いて、言う。
「…その、私の母は……」
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「……と言う形でして」
何となくの流れを、五条さんに説明し終えた。すると、苦虫を噛み潰したような顔をされる。
「なるほど、通りで君が出来上がる訳だ」
「え!?私教育者みたいな顔してましたか!?」
「いや、こっちの話」
五条さんは、顎に手を当てて考えている。こっちの話、の意味が分からなくて辛い。
「うーん」と唸る五条さん。すると、「ま、君が私立大学に入学なんて話、無理なんだけどね」とあっけらかんと言われた。
「…はい……?」
「いやー、だって君の立場、要注意人物だよ?呪術界の上は黙ってないさ。それに、僕もね」
ニヤリと笑う五条さん。この時ばかりは流石に、「あっ!性格悪い!」と口に出しそうだった。
「…って事は、私、この界隈にいても、いいんですか?」
「いてよ。離れるなんて選択肢、無いと思うけど?」
「…よ、良かったぁ」
別に戻ってもいいんじゃない?そう言われたらどうしようとばかり考えていた。
どうやら私は、すっかりここに感化されてしまったらしい。
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作者 - 紅葉さん» 弐の方にもコメントしてくださっていたんですね!気づくのが遅れてしまってすみません!読んでくださってありがとうございます! (2021年2月24日 22時) (レス) id: abf4ad4153 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 五条先生の創作アルバム怖いですね……最後のセリフで「ヒェッ」ってなりました……。面白いです! 真希さんのツンツン具合がまた好き……続き読んできます (2021年2月22日 8時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - ゆうなさん» わっ、本当に申し訳ございません…。修正させていただきました!今後も当作品をよろしくお願いします! (2021年2月6日 23時) (レス) id: abf4ad4153 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな - いつも楽しく読ませて頂いています!あの、22話くらいから、名前変換ができなくなっている気がします。華瑠→華琉になっているからだと思われます!此方の不具合でしたらすみません…これからも応援してます!! (2021年2月6日 11時) (レス) id: 3ecb08afbf (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2021年1月26日 23時