10話 : 目的は ページ10
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Aは考える。
この男は一体何がしたいのかを。
最初は、宿儺の器である虎杖悠仁の
殺害又は誘拐が目的であると思っていたが、
虎杖が逃げたことに関して何も反応していなかった。
なら、私の殺害が目的か?
それなら、会話などする必要がないはず…、
目的がわからない。
なら、
「生かしたまま拘束します…」
「できるものなら、してみてごらん」
と男はAに背を向け、走り始める。
「逃がすと思いますか?」
と逃げる背中を追いかける。
と見せかけて、
「≪蒼≫」
と小さく呟き、相手の足を止める。
だが、相手もそれを想定していたのか、身体の向きを変え、
その勢いを使って、刀を振りかぶる。
Aは、わざとそれを右腕で受け止め、
左手を相手の顔の真正面へ。
「≪赫≫」
男は逃げようとするも、
刀をAにつかまれているせいで動けない。
だが、瞬時に刀を手放すという判断をし、
直撃を避ける。
が、男の右肩は赫が貫通し、
そのまま、壁に打ち付けられる。
「やっぱり、あの頃の君じゃないんだね…」
と肩を貫通されたにも関わらず、
男は悲しそうに呟く。
「大人しく拘束されてくれるのなら、
これ以上のケガを負うことはありませんが…、」
「ケガ?どれのことかな?」
と男が言った瞬間、貫通された肩が治り始める。
反転術式が使えるのだ。
Aは、口を開く。
「あなたの目的はなんですか?」
「…何だと思う?」
Aを見つめながら、返答する男。
どこまでも愛おしげに見つめる。
Aはその態度に苛立ちを感じ、男をにらむ。
しかし、男は微笑み、
「…俺の目的は、ただの時間稼ぎだよ」
と余裕綽々で告げる。
「時間稼ぎ?」
「うん、ほら、きっともうすぐ…」
と男の言葉を遮るように、
犬の遠吠えがあたりに響く。
瞬間、
生得領域に男とは異なる禍々しいプレッシャーが。
「相変わらずすごいオーラを出すね、彼は」
と男もそれを感じ取ったのか、そんなことを呟く。
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ミルクティー - 「ゆっこ」さんと同じです。めちゃくちゃ面白いです。結末が気になるな〜 (4月2日 20時) (レス) @page16 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - とても好きです。更新楽しみにいています! (3月29日 20時) (レス) @page12 id: 2eecfc8ab4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルーシェ | 作成日時:2024年3月11日 21時