21話 : やってしまった ページ21
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なぜ、急に噛みついてきたのか、
なぜ…、
「…訳が分かりません…、」
「なにが?」
誰もいない書庫室にAの声が響く。
声の主は、Aの頭を埋め尽くしていた人物だ。
「わっ…」
「おっと、あぶない…」
九に現れた五条に動揺したAは、椅子から落ちそうになった。
それを片手でたやすく支える五条。
「なーにがわけわかんないの?」
「悟…、いつからここに?」
とAは、五条の質問には答えず、質問する。
この間の件で、五条は宿儺について少なからず嫌悪を抱いているとAは結論付けた。
だからこそ、あの時、Aの口から宿儺の話をされて、嫌がっていたのだろうと…、
もし、宿儺についての独り言が聞かれていたら、
また機嫌が悪くなるかもしれない…、と考えた。
「ん−、ついさっきだよ
そしたら、Aが僕の名前を呼ぶんだもん
てっきり気づいてるのかと思ったよ」
といつもの調子のまま、五条は答える。
どうやら、独り言は聞かれていなかったらしい。
安心と同時に、気づく。
普段であれば、五条だろうが誰だろうが近づけば気づく。
それはAがもつ眼の力か、それとも五感が鋭いからだろうか
はたまたどちらもか…、
とにかく、Aが近づいてくる人間に
気づかないなんてことはありえないはずなのだ。
Aは机に置いていた自身のスマホを確認する。
書庫室に入ってから3日経っていることに今気づいた。
それほどまでに疲れているという現状に、驚き、反省する。
一度集中すると、周りが見えなくなるのはAの悪い癖だ。
五条に怒られるなと思いながら、顔を上げる。
そこには先ほどまでの調子が嘘のように不機嫌な五条が。
しかし、不機嫌原因は別にあった。
「あっ…、」
「Aは、僕を不機嫌にさせるのがうまいよね」
と五条は近くにあった書物を拾い上げる。
そこには、抽象的で役に立たないと結論付けた書物が。
そう両面宿儺について書かれている書物があった。
「書庫室に籠ってるって話を聴いてきてみたけど、
宿儺について調べてたの?」
と不機嫌を隠す様子もなく、Aに問いかける。
Aは下手にごまかすのは逆効果だと観念する。
「先日、対峙した際に気になることがあって…」
「ふーん」
五条の機嫌はさらに悪くなっていく。
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ミルクティー - 「ゆっこ」さんと同じです。めちゃくちゃ面白いです。結末が気になるな〜 (4月2日 20時) (レス) @page16 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - とても好きです。更新楽しみにいています! (3月29日 20時) (レス) @page12 id: 2eecfc8ab4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルーシェ | 作成日時:2024年3月11日 21時