19話 : 強くならなきゃ ページ19
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「なによそれ、」
という釘崎の言葉は、
現場責任者への重圧の話か、上層部に対する虎杖扱いへの怒りか…、
いや、後者であることは明白だ。
「野薔薇」
Aは釘崎に声をかける。
「弱いままでは、その声は上には届きませんよ」
と少しだけ挑発を込めて、言い放つ。
釘崎はハッとした様子を見せた後、
「心配しなくても、すぐにあんたの横に並んであげるわよ」
と先ほどまでの辛気臭さはなくなり、しっかりと前を向けている。
「Aは交流会には参加するのか?」
という伏黒の言葉に、
Aは眉を下げる。
「残念ながら、去年のこともあって、
特級は参加不可となってしまったようで…」
というAの言葉にその場の全員が驚く。
2年生も初耳だったのか、
「まじか、優太が去年派手にやったってのは聞いたが、
そんな決まりができるほどだったとは…」
「おかか…」
「Aも参加してみたかっただろうに…」
という2年の言葉に、
Aは眉を下げながら、
「まぁ、参加してみたくなかったと言えば嘘になりますが…、
皆さんの活躍を楽しみにしてますね」
と笑う。
その様子は本当に気持ちの切り替えができているようだった。
「まぁ、参加できねぇもんは仕方がねぇな
特訓には参加できそうか?」
という禪院の言葉に、
Aは再度眉を下げ、
「すみません、少しやることがあって…」
と断りの意思を見せる。
禪院はその様子に少し疑問を浮かべる。
普段であれば、「できる範囲でなら…」と言って、
Aがはっきり断ることはないだろう。
しかし、今回、Aは、はっきり断った。
それに疑問を持つが、
「なら、しゃーねーか」
と深く追及することなく、諦めの姿勢を見せる。
Aはそれを理解してか、
「ありがとうございます」
と返事をする。
その返事に、「なにがだよ」と返すが、Aは笑ってごまかす。
「じゃあ、運動場に移動するか」
「え、今から特訓するの?!」
「しゃけしゃけ」
「…俺は用事あるんで、いったん抜けます」
「おう、早く戻って来いよ」
とそれぞれが歩き出す。
Aはその背中を見送って、呪術高専の書庫室へ足を動かし始めた。
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ミルクティー - 「ゆっこ」さんと同じです。めちゃくちゃ面白いです。結末が気になるな〜 (4月2日 20時) (レス) @page16 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - とても好きです。更新楽しみにいています! (3月29日 20時) (レス) @page12 id: 2eecfc8ab4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルーシェ | 作成日時:2024年3月11日 21時