【呪術廻戦】くいーん・あい【五条悟】

27話 side 五条 ページ28

「僕の検討違いだったかなー？」


先ほどから、特級にボロボロにされている姫乃宮を見て呟く。


「そろそろ助けてあげようかな。」


彼女がピンチになれば何か分かるかもと思い、任務に連れてきが…。


諦めて立ち上がろうとした時…


『開眼』


姫乃宮がそう唱えた瞬間、空気が変わるのが分かった。


彼女の目の前にいる特級は動かない。


いや、動けないのか。


『消滅』


また聞こえた彼女の声。


次の瞬間には特級がいとも簡単に祓われていた。


『五条君…もしかしているの？』


呪霊の濃い気配が消えたせいか、僕の存在に気付き慌てて眼鏡をかける姫乃宮。


自然と口角があがり笑いが漏れた。


五「くくくっ…みーちゃった。」


『ははは…何の事か…な…』


その言葉を最後に意識を失った。


五「これだけ出血してれば当然か。」


気絶した姫乃宮を抱えて、車に戻る。


止血をしてからホテルへ戻り、彼女を寝かせた。


五「おーい、姫乃宮ー？生きてるー？」


『いっきてる…』


苦しそうに顔を歪ませた彼女から眼鏡を奪う。


その瞳は閉じられていた。


五「ほらっ最近覚えたでしょ？反転術式。やってみて？」


『無理…』


五「死ぬよ？」


『五条君に看取られるっなら本望です…』


冗談を言いながらも顔色は悪くなる一方。


五「ほらー。僕が応援してあげるから。」


『よ、し。がんばるね…』


五「まずは内側から直すイメージね。血管の一本一本、細胞の一つ一つを意識して。」


『はぃ』


さすがは呪力無限大女。


これだけ体を消耗しているのに、もう小さな擦り傷は治ってきている。


五「姫乃宮、ブラウス捲るよ。」


『ぇ、ちょっとむりむりむり…こんな状態で五条君と愛し合うなんてっ』


五「何勘違いしてるか知らないけど、腹の傷見るんだよ。」


瀕死の癖に姫乃宮はどこまで行っても姫乃宮だ。


『あ、なんだ…』


五「いいから集中しろよ。」


もう返事をする気力もないのか、コクリと頷いた。


ブラウスの裾を捲れば、すでに修復を始めている患部。


五「うん、上手にできてる。」


ベッドサイドに腰かけて彼女の様子を見る。


危険な状況はいまだ変わらないので、少しの変化も見逃さないようにしないと。


『五条君が…嫌いな私をっ任務に連れてきたのは…どうしてかなって』


五「今は喋るなよ」


『気づくのが…遅すぎた…』


再び意識を手放した姫乃宮。


腹部の傷は綺麗に治っていた。


五「嫌い、ね。」

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