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八雲の母親は病院の個室で、一人静かに眠り続けていた。
彼女を取り囲む二人の視線は交わらぬまま、まるで永遠とも感じる静寂だけが過ぎていく。
視界の端で、八雲が俯くのがわかった。
「知ってますよ。私をヒーローにしたがってたことぐらい」
「…」
「…私が、ヒーローになりたがらないことも、知ってましたよ」
父も母も、自分にはもったいないほど優しい人だった。根本的な性格は昔から何も変わっていなかった。
ただ、環境が違うだけ。
感情を抑えることが出来なかった。ヒーローを見て、明らかに顔が歪む我が子をヒーローである彼らはどう捉えていたのだろう。
もう無理だと母に嘆く父を見た。
そんな父の背中を黙ったまま撫でる母を見た。
母が昏睡状態となった今、八雲は自ら望んで父と離れた。
父は優しい人ではあるのだ。このまま一緒にいれば父は余計に自分を責めてしまう。母を助けに行けなかったこと、娘を、こんなふうに、育ててしまったこと。
「なんでって、思いますよね。だってあんなにいい人達の間で生まれて、昔からヒーローが嫌だなんて、巫山戯てる」
「…あぁ」
「あの時、お母さんを止めればよかったなんて、思ってないです。他人の命が優先なことぐらい、わかってます」
行かないで、なんて言える立場ではないことなんて分かっていた。それはヒーローであろうと、呪術師であろうと関係ない。どちらにせよ、一般人の、非術師の命が優先であることに変わりはない。はず、なのだ。
「でも私には、それが理解できない。顔も知らない他人のために、大切な人を見捨てることが正解だとは、思えないんです」
「私は綺麗じゃないから、腐ってるから、だから無理なんですよ。ずっと言ってたけど」
「あんなに、綺麗な心を持ったヒーロー科の子たちに混ざるなんて、私には、耐えられない」
上から息を飲むような音がしたって辞めなかった。
夏油が、五条が、家入が楽しければ、そう思っていた。
今だってそう思っている。彼らがヒーロー科への移籍を望むのなら八雲は文句一つ言わず付いていく気持ちでいる。
彼らも、綺麗なのだ。
結局
自分だったら、何のために戦うのだろう。
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く - また戻って来ちゃいました…！！本当にいつ読んでも面白くて飽きません！！この小説が大好きです！！ (3月26日 11時) (
レス) id: 2886bd5eaa (このIDを非表示/違反報告)
a - 何回も読み返してしまうほど設定がしっかりしていて解釈の仕方が納得できたりしてしまう程大好きな作品です更新待ってます (3月22日 5時) (レス) @page41 id: 125b1c80a3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - え、おわり？？？え？？ここで？？？え (3月14日 0時) (レス) @page41 id: a785fb42c2 (このIDを非表示/違反報告)
甚嘉 - このお話とても大好きです！私はさしす組推しなんですが、夢小説ではよく硝子さんだけ距離を感じるものが多くて…だけど、この作品は4人の友情が綺麗に描かれていてとても惹き込まれました。これからも頑張ってください！ (2月16日 21時) (レス) @page41 id: c9696c8440 (このIDを非表示/違反報告)
r(プロフ) - この作品大好きで大好きで…初期の頃からずっと追いかけてました…久しぶりに見たら更新されてるなんて…夢中で読みまくりました、、更新ずっと待ってます…作者さんの書く作品が大好きです (1月13日 18時) (レス) id: 892520834f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ずんだもち | 作成日時：2021年6月11日 21時
