･ ページ27
．
「………はーーー、なに、気にしてたの俺だけってか？」
「あぁ、そうみたいだね」
虚空を見ていた五条の目がゆっくりと、彼の生徒へと向けられた。今も昔も変わらぬ六眼が、昔よりも凪いて映るのは気の所為なんかでは無い。
以前は何も語らなかったその口が、開き始める。
「チッ、なんだよ、気ィ張ってたのがバカみてー」
「五条先生でも気張ることあんの？」
「悠仁？オマエは俺をなんだと思ってんの？」
「いやだってさ、先生いっつもさらーってしてたもん。ひょい、みたいな？」
全くこいつは、相変わらず感覚で話している。五条は緩む頬を抑えることはしなかった。
掴みどころがないだとか、飄々としていたとか、大人である五条を知る人は皆そう言うだろう。だが実際、五条は誰よりも喜怒哀楽を表す人間だった。嫌なもの嫌だし、好きなものは好き。それを誰よりも知ってるのは紛れもなくA、硝子、傑の青春を共にした3人であろう。夏油が虎杖のこの言葉を聞いて、思わず首を傾げたのも致し方ない。
「まぁ、大人だったからね」
「大人だったからって、」
五条の言い方に、しっくりこなかった釘崎は同じ言葉を繰り返した。大人だったから掴みどころがなかったと言われて、納得できる人はいない。伏黒も怪訝そうだし、虎杖なんかわかりませんを全面的に押し出した表情をしていた。
「俺は君たちのセンセーで、最強だったわけ。わかる？」
ま、今も最強だけど。
なんて付け足しの言葉は彼らの耳には届いてない。続きを、と促すような視線を交わし、五条は物思いに耽る。かつて、教師を夢みたAの後を追うように教師になった。彼女がしそうなこと、やりたがっていた事を辿るように。家入は何度も、その姿に唇を噛み締めていた。友人二人を失った者同士、精一杯背伸びをした。辛いも悲しいも苦しいも言わず、ただ彼らの理想を追いかけた。それがいつの間にか、体になっていたなんて、馬鹿げた話だろう。
突然、2人ぽっちになった世界で、泣いて、辛いって叫び縋る相手など最早どこにもいなかった。
．
お久しぶりです(土下座)
忘れてました(土下座)
自分が考えてた話も何となくしか覚えてません(土下座)
タスケテ(土下座)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4079人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
く - また戻って来ちゃいました…！！本当にいつ読んでも面白くて飽きません！！この小説が大好きです！！ (3月26日 11時) (
レス) id: 2886bd5eaa (このIDを非表示/違反報告)
a - 何回も読み返してしまうほど設定がしっかりしていて解釈の仕方が納得できたりしてしまう程大好きな作品です更新待ってます (3月22日 5時) (レス) @page41 id: 125b1c80a3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - え、おわり？？？え？？ここで？？？え (3月14日 0時) (レス) @page41 id: a785fb42c2 (このIDを非表示/違反報告)
甚嘉 - このお話とても大好きです！私はさしす組推しなんですが、夢小説ではよく硝子さんだけ距離を感じるものが多くて…だけど、この作品は4人の友情が綺麗に描かれていてとても惹き込まれました。これからも頑張ってください！ (2月16日 21時) (レス) @page41 id: c9696c8440 (このIDを非表示/違反報告)
r(プロフ) - この作品大好きで大好きで…初期の頃からずっと追いかけてました…久しぶりに見たら更新されてるなんて…夢中で読みまくりました、、更新ずっと待ってます…作者さんの書く作品が大好きです (1月13日 18時) (レス) id: 892520834f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ずんだもち | 作成日時：2021年6月11日 21時
