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「…」
夏油はここまで導いてくれたありがたい携帯を終い目の前の建物を見上げた。ここに、彼は居る。
緊張を解すように息を吐き、夏油は呼び鈴を鳴らした。
「なぜヒーローをしているのか、だと？」
「ええ、参考程度に」
「…傑、お前」
「まだ決まった訳じゃないですよ。ただ、食わず嫌いは良くないかと思いまして」
夏油は七海から話を聞いた後、もう少しじっくり考えてみようと放課後、夜蛾の元へ訪れた。夜蛾は思わぬ来客にぬいぐるみを縫う手が止まった。
笑みを絶やすことなく見つめる夏油に夜蛾は思わず身構えてしまった。夜蛾はその笑みを知っていた。大抵、よからぬ事を考えている時の笑みだった。
「…まあいい。ヒーローをする理由か？」
「はい」
「…この世界で、呪いを齧った者が一人で生きるのは難しい。周りの殆どがヒーロー志望だ。お前も、わかっているだろう」
「…ええ、まあ」
「場所を作ろうと思ってな。呪術師だけの」
「…………なるほど」
確かに周りにAや悟、硝子が居なければ自分はどうなっていたのか、想像するまでもないことだった。Aが道を与えてくれて、悟が引っ張り出してくれた。周りを見たら、いつだって硝子は横に並んでくれていた。それがもし無かったら。あの時、公園で出逢えていなかったら。夏油は有り得た未来に身震いした。
「…それだけだ」
「ヒーローでならなければならなかった理由は？」
「見つけやすいだろう」
「…あぁ」
夏油達が夜蛾の存在を見つけたのは夜蛾がプロヒーローで名を挙げていたからだった。七海も夜蛾も、案外自分のためにヒーローをしていることに夏油は少なからず驚いていた。
そういえば、と夜蛾が口を開く。
「お前と、同じ考えの奴が昔居たな」
「へぇ」
「会いに行ってみたらどうだ」
「……ちなみに名前は？」
ーーーー伏黒恵だ。
体育祭の日、五条とその生徒のやり取りを夏油は傍で見ていた。夏油としては彼らの存在はあまり覚えていなかった。いたような、いなかったような、いたと言われればいたような、程度だった。無理もないだろう。
夏油は扉が開くまでの数秒がまるで数分に感じた。それほどまで気張っている自分に苦笑さえした。
「はーい…って、あれっ！？」
素っ頓狂な声を上げ出てきたのは、どこか頼りなさそうな少年だった。
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く - また戻って来ちゃいました…！！本当にいつ読んでも面白くて飽きません！！この小説が大好きです！！ (3月26日 11時) (
レス) id: 2886bd5eaa (このIDを非表示/違反報告)
a - 何回も読み返してしまうほど設定がしっかりしていて解釈の仕方が納得できたりしてしまう程大好きな作品です更新待ってます (3月22日 5時) (レス) @page41 id: 125b1c80a3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - え、おわり？？？え？？ここで？？？え (3月14日 0時) (レス) @page41 id: a785fb42c2 (このIDを非表示/違反報告)
甚嘉 - このお話とても大好きです！私はさしす組推しなんですが、夢小説ではよく硝子さんだけ距離を感じるものが多くて…だけど、この作品は4人の友情が綺麗に描かれていてとても惹き込まれました。これからも頑張ってください！ (2月16日 21時) (レス) @page41 id: c9696c8440 (このIDを非表示/違反報告)
r(プロフ) - この作品大好きで大好きで…初期の頃からずっと追いかけてました…久しぶりに見たら更新されてるなんて…夢中で読みまくりました、、更新ずっと待ってます…作者さんの書く作品が大好きです (1月13日 18時) (レス) id: 892520834f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ずんだもち | 作成日時：2021年6月11日 21時
