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「何をヒーローと思うかは人それぞれでしょうが、あの子たちからすれば、アナタはそうだったはずでしょう」
あの子たち。醜い猿共によって檻に閉じ込められていた、私の、大切な。
「…どうだろうね。私はあの子たちをあの世界へ連れ込んでしまった。もし、悟があの子たちを見つけていたら、幾分幸せな道を歩んでいたことだろう」
夏油は何度も考えた。
自分を夏油様と呼び慕う彼女たちを見て、これで本当に良かったのだろうかと。今からでも悟に預けて、真っ当な人として生きさせてあげたい。そう何度も考えた。でも、出来なかった。
結局そのまま死んだ。曖昧な記憶の中に、美々子と菜々子はもう居なかった。自由が効かない身で、彼女たちを死なせてしまったのだと知った。
七海はそんな夏油に言葉をかけようとして開いた口を閉じた。自分はこの人に何を言えるのだろう。
七海だって逃げたのだ。七海は夏油と違い、戦うことを諦めた。そんな自分が夏油にかける言葉などどこにも無かった。
「ふ、ねえ七海」
「……なんでしょう」
「私はヒーローだったと思う？」
「…知りませんよ。本人に聞いてください」
「いるのか？」
「さあ」
「まあ、でもあの子たちのヒーローなら、悪い気はしないね」
馬鹿げた話だ。
ヒトを殺してきた自分がヒーロー。人を、仲間を捨てた自分がヒーロー。
虎杖くん、だったっけな。悟が教え育てた子達だって自分の中にヒーローは居るんだろう。正義で塗り固められたヒーローじゃなくて、自分だけのヒーローが。そうだね、それは悟だったりするのかもしれない。圧倒的な強さで、彼らの心の支えになっていたのかもしれない。悟が、私が、誰かのヒーロー。面白いな、すごく。
「いや、うん、悪くないね。ヒーローの面を被ってみるのも。とっても面白いよ」
「…そういう人でしたね。夏油さんも」
「おや、久しぶりに呼んでくれたね」
「……たまたまです」
「あぁ、そう？」
あの子たちのヒーローに、助けになれるなら、なっていたのなら、またなってみるのもいいかもしれない。この世界に居るかも分からないが、居るとしたら。
どこかスッキリとした表情の夏油を七海は一瞥した。
どうか彼らが、彼が、あの子達が、幸せでいれますように。呪術師はクソだ。だから逃げた。だから、今度は逃げたくなかった。
ヒーローを目指す理由なんて、そんなものだ。
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く - また戻って来ちゃいました…！！本当にいつ読んでも面白くて飽きません！！この小説が大好きです！！ (3月26日 11時) (
レス) id: 2886bd5eaa (このIDを非表示/違反報告)
a - 何回も読み返してしまうほど設定がしっかりしていて解釈の仕方が納得できたりしてしまう程大好きな作品です更新待ってます (3月22日 5時) (レス) @page41 id: 125b1c80a3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - え、おわり？？？え？？ここで？？？え (3月14日 0時) (レス) @page41 id: a785fb42c2 (このIDを非表示/違反報告)
甚嘉 - このお話とても大好きです！私はさしす組推しなんですが、夢小説ではよく硝子さんだけ距離を感じるものが多くて…だけど、この作品は4人の友情が綺麗に描かれていてとても惹き込まれました。これからも頑張ってください！ (2月16日 21時) (レス) @page41 id: c9696c8440 (このIDを非表示/違反報告)
r(プロフ) - この作品大好きで大好きで…初期の頃からずっと追いかけてました…久しぶりに見たら更新されてるなんて…夢中で読みまくりました、、更新ずっと待ってます…作者さんの書く作品が大好きです (1月13日 18時) (レス) id: 892520834f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ずんだもち | 作成日時：2021年6月11日 21時
