･ ページ11
．
「あー、うん、だからさ、ヒーロー科への移籍は無しね。はい、けってーい」
今この場で楽しそうに笑っているのは五条のみだった。夏油はそもそも五条の方を見向きもしなかったし、八雲や家入は冷めた目で五条を見ていた。
この世界においてヒーローという存在は絶対的なものだった。ヒーローとは誰しもが一度は憧れる存在。それが当たり前だった。
だから、根津には彼らの、ヒーローになれる才能を持ち合わせているにも関わらずヒーローを目指さないその考えを全く理解することが出来なかった。だから、こうして五条と認識に違いが生じてしまっていた。ヒーローを目指せない真っ当な理由を得ない限り、根津は彼らをヒーローにしようとするだろう。彼らはそれだけ才能に溢れていた。
「…頼む。もう一度ちゃんと考えてくれないか」
それは相澤も同じだ。
今まで多くの生徒を見てきた。中にはヒーローになりたいという強い思いがあっても、叶わなかった者だっていた。本気でヒーローになりたくないのならわざわざ雄英には来ないだろう。相澤はそう考えていた。雄英は最高峰のヒーロー育成学校である。まさか仲間に会う手段として使われているなんて思いもしないだろう。
「…あのさぁ、俺らは」
「わかりました。一旦持ち帰ります」
五条の発言を遮ったのは夏油だった。五条は思わぬ人物の介入に若干目を見開いた。
「…オマエ、嫌じゃねぇの」
「嫌に決まってるさ。でもこのまま悟に任せていたら堂々巡りだ。帰りが遅くなる」
「………ハァ？」
「くだらない話し合いに時間は割きたくないんだよ。…と、いう訳で、この件は一度持ち帰ってじっくり四人で話し合いますので、今日のところはこれで」
ほら行くよ。
そう言った夏油に続き八雲、家入が怠そうに部屋から出て行った。慌ててその後を追う五条に相澤は言葉を投げかけようとしたが、それは叶わなかった。
「…彼らは、何者なんでしょう」
「…うーん、」
「……なんというか、違和感を覚えました。五条の言葉通り、アイツらにとって、ヴィランもヒーローも、知ったこっちゃないんでしょう。あんな生徒に、いや、あんな人達に会うのは初めてだ」
「…もう少し、彼らを調べる必要があるみたいだね」
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4079人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
く - また戻って来ちゃいました…！！本当にいつ読んでも面白くて飽きません！！この小説が大好きです！！ (3月26日 11時) (
レス) id: 2886bd5eaa (このIDを非表示/違反報告)
a - 何回も読み返してしまうほど設定がしっかりしていて解釈の仕方が納得できたりしてしまう程大好きな作品です更新待ってます (3月22日 5時) (レス) @page41 id: 125b1c80a3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - え、おわり？？？え？？ここで？？？え (3月14日 0時) (レス) @page41 id: a785fb42c2 (このIDを非表示/違反報告)
甚嘉 - このお話とても大好きです！私はさしす組推しなんですが、夢小説ではよく硝子さんだけ距離を感じるものが多くて…だけど、この作品は4人の友情が綺麗に描かれていてとても惹き込まれました。これからも頑張ってください！ (2月16日 21時) (レス) @page41 id: c9696c8440 (このIDを非表示/違反報告)
r(プロフ) - この作品大好きで大好きで…初期の頃からずっと追いかけてました…久しぶりに見たら更新されてるなんて…夢中で読みまくりました、、更新ずっと待ってます…作者さんの書く作品が大好きです (1月13日 18時) (レス) id: 892520834f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ずんだもち | 作成日時：2021年6月11日 21時
